企業直営(FC)を探る ドトールコーヒー「オリーブの木」 スパゲティ20種類を用意

1992.06.01 5号 5面

㈱ドトールコーヒー(東京都港区芝浦三の一七の七、TEL03・5484・0638)は、一八〇円コーヒーのドトールコーヒーショップ、コロラドなど、コーヒーを中心としたチェーン店展開は知られているところだが、パスタを中心とした「オリーブの木」のチェーン展開をしていることは、あまり知られていない。同店の基本的なコンセプトはサンバの国、そして南米の大国ブラジルでイタリア系の人達が、こよなく好んだスパゲティ、アーリォオーリョをメーンメニューとし、好みに応じて、二〇種類のスパゲティをとりそろえているのが特徴。店舗の特徴としては気軽に来店できるように、それと同時に落ち着けるように、淡色の白壁と暖かな色調の木はだから生まれるゆったりとした雰囲気、そして、この空間に出窓やパーティション、インテリア小物などがアクセントをあたえ幅広い客を対象としている。しかも、ゆったりしたカウンター席も特徴の一つとなっている。

これは一人だけの客を大事にしようとするドトールコーヒーの姿勢でもある。この発想は、喫茶店などに一人だけで来店する客を、いかにおいしいコーヒーで満足させるか、そしてサービスし、再び来店してもらうことを心がけてきたことから始まっており、「オリーブの木」全店にかならずカウンター席をもうけることになっている、坪数は、一五坪から三〇坪が標準となっている。ドトールコーヒーは、喫茶店経営は十分心得えているつもりだが、「オリーブの木」のように、食事を主体とした店舗は、初めての経験でいろいろ参考になったという。その好例が来店客の人数であったという。つまり、ドトールコーヒーショップの場合であれば、常連客が一〇〇〇人いてくれれば、そのうちの五〇%前後は、毎日来店してくれる、二人に一人は、毎日コーヒーを飲んでくれる。

しかし、パスタ店の場合、毎日、食べてくれる常連客は、ほとんどいない。良くて三日一回、平均して一週間に一回か、または十日に一回である。このため、常連客という客は、コーヒーショップの五倍か約一〇倍は必要ということになる、と語っている。「オリーブの木」は、いかに一人の客を大事にし、固定客を作るかを心掛けているという。また、生麺は、麺に含まれる水分量二二%と極度に抑え、乾麺の持つなめらかさと生麺の持つ味わいの深さの両立を実現している。しかも、ゆで時間は、わずか三分三〇秒、乾麺の二分の一の時間で済むようにしており、客に提供する時間を大幅に短縮化することに成功している。独自のおいしさを実現するためにオリーブオイルを始め、トマトソースなどの各種ソース類、ピザクラストやソーセージ、バターミックスなどの食材は、自社開発を行っている。調理器具では「オリーブの木」が独自に開発したスパロボ。

この導入によって厨房からフライパンが消えて、強力な火力で短時間で具を炊め、しかも操作は簡単で、アルバイトの人でも数日間で調理方法をマスターできるようになっている。スパロボとの組み合せで、威力を発揮する全自動ゆで麺機、最大八食分を同時にゆでることができ、しかもゆであがると、麺は自動的にひきあげられるようになっている。

したがって、麺を投入すれば、あとは機械にまかせ、その間、次の調理の準備にあてることができる。これは、人手不足を補う今日的な合理的なパスタ店となっている。

「オリーブの木」の主なスパゲティメニューの価格は次の通り。

▽オリーブの木(ソーセージ、きの子、オリーブ)六八〇円▽ペペロンチーノ(唐辛子入り辛口)五五〇円▽バジリコ(青じそ)六八〇円▽ツナとエビ(バジリコ風味)七八〇円▽きのこの取り合わせ(マッシュルーム、しいたけ、しめじ)八〇〇円▽ポパイ(ホウレン草、ベーコン)七五〇円▽ボンゴレ(あさり、ムール貝)八〇〇円▽ペスカトーレビアンコ(あさり、イカ、エビ)九五〇円

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