スペイン料理味の探検 アストリアス・ガリシア地方-豆の煮込み料理「ファバダ」

1992.06.01 5号 11面

北ヨーロッパのケルト民族の末裔が住むイベリア半島の西北部、アストリアス地方とガリシア地方に住む人々の気質は、スペインの他の地方に住む人々の気質とは、まるで異っている。スペインに旅行に行ってよく食べられる精巧な料理として人気のある料理がこの地方に沢山ある。事実、スペインの最も国際的な料理は、この地方発祥のもので、アメリカの大部分の地方へ、その料理は伝えられている。アストリア地方の料理の中で最も知られているのはファバダという豆の煮込み料理。体が温かくなる料理でスペイン料理の中で、この一品で「たよりになる」料理は、他にないといわれている。乾燥、もしくは塩漬けのハム、ベーコン、豚の耳など入れて料理される。

ファバダと並び魚介類の料理が主流で、マイルドで完璧な香りで料理され、しかもあらゆるレストランで供されている。

この地方には、シードル酒漬けの「たら」は一般的にみられるが、スペインにおける最大のサーモンの産地でもある。ナロンとセラの両河川があり、サーモンはミルクに漬けられ、料理をする前に塩とレモンで味つけされる。

また、この地方は、ファバダのほかに、体を温めてくれるおいしい料理がある。カルデレタ・アストリアナといって、ビスケー湾の魚を寄せ鍋にしたものだが世界一おいしいという食通が多い。

イベリア半島の北西部ガリシア地方は、水産物なら、ガリシア沿岸でとれないものはないというスペインで最も重要な漁業地帯で料理も魚介類が主流でメルルーサのガリシア風(メルルサ・ア・ラ・ガジェガ)と魚の鍋煮込み(カルディラーダ・デ・ベスカード)が代表的料理である。

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