豆腐懐石・とうふ屋「ゑん重」フランス料理の腕を生かす
豆腐懐石「ゑん重」(東京都豊島区、03・3944・1007)店長の近藤喜一さんは、「昔ほど豆腐が食べられていない。家が豆腐屋なので手造り豆腐のおいしさ、こんな食べ方もあることを広めたい」という。
五年前、フランス料理店で得たノウハウを生かし、和風にアレンジしたコース料理をメーンに、店をオープンした。
コースは、すべて月替わりで、豆の木(三五〇〇円)、豆の花(四五〇〇円)、豆の夢(五五〇〇円)の三コース。コースの先付には、朧豆腐がつく。朧豆腐は、豆乳にニガリを加え固まった状態のもの。八割が女性客だけに、なかなかの好評。水菓子のデザートには、一年をかけて試作したという豆乳、クリームチーズ、リキュールから成る豆乳チーズケーキ、豆乳、玉子、牛乳でつくる豆乳プリンがある。
大豆と水の分量、炒き方、ニガリの量により味が微妙に変わる豆腐は自家製。水は、昔からの井戸水を使い、一日五〇〇丁を作る。
「今までの豆腐料理にこだわりたくない」と、調理長と月一回ミーティングを行い、次の月の新しい献立を決定する。
「三年間は大変でした。安くて、おいしくなければ受入れられない」、二年間は、サービス料も付けず、原価率三〇~三三%に抑えていけたのも、自家製の豆腐が使用できるからだ。月替わりメニュー決定時には、その都度DMをしたり、情報誌による告知、絶え間ぬ新メニュー研究により「今は、浮き沈みのない来客を得ています」という。
白と黒で統一された店内は、一・二階で約四〇席。昼四〇人、夜三〇人で目標月商七〇〇万円に持っていきたいとしている。「いずれは、三代目の私が豆腐を作ってでも、おいしい豆腐の味をアレンジし、伝えたい」。