お店招待席=リーボン・レストラン「FLO(フロ)表参道店」
地下鉄・銀座線、半蔵門線、千代田線の三線が乗り入れる表参道駅から徒歩二~三分。表参道の喧噪とは裏腹に、閑静な一角にあるアールデコ調のたたずまい。バブル真っ只中の八九年7月、「フランス料理を気軽においしく」をコンセプトに、ブラッスリースタイルのレストランとしてオープンした。その品質とサービスはリーボン=RB=レストラン(納得のゆく価格のレストラン)として、専門家の間でも評価が高い。
運営は(株)フロジャポン(すかいらーく一〇〇%出資関連子会社)で、八七年、仏フロインターナショナルと日本国内のみのFC契約を行い設立した。事業内容はフロのコンセプトに基づくブラッスリースタイルによるレストラン経営、デリカテッセンの経営で資本金は一億円。現在レストラン「FLO」を三店、テークアウトのプレステージを百貨店、デパートなどに五店舗展開している。
もっともFLOらしさを提供している表参道店はバブルが弾け、フランスレストランブームが下火になったといわれる中、この二年間客数を伸ばし続けている。菅谷昌吾取締役は「フランス料理は高単価、晴れのイメージが強すぎる。もっと歴史的なフランス料理の味に親しんで欲しい」と同店の狙いを語る。
店内は三フロアからなり、一階一一〇席、二階七二席、三階三八席で総席数二二〇席と大型店。このキャパを利用して一階はレストランスタイル、二・三階はブッフェスタイルと使い分け、同時間帯に二種のサービスを提供できるのが最大の強み。客層は九割が女性で、遠方からわざわざ来店する客も多く「来店動機がはっきりしていて“フロ”をめざしてくる」。
時間帯別に客の動機に対応してサービスと価格設定を替えているのも特徴。平日月曜~金曜の午前8時~10時半まではモーニングブッフェ。焼きたてのパン類、卵料理、おかゆ、サラダ、ヨーグルト、フルーツ、ドリンク類が食べ放題で六〇〇円。卵料理はシェフが目の前で好みに合わせて調理する。
午前10時半~午後3時まではランチブッフェ一六〇〇円。オードブル、スープ、サラダ、肉料理、魚料理、デザート、パン、ドリンク類を揃える。午後3時~5時まではケーキブッフェで一二〇〇円、フロ特製各種ケーキ、フルーツ、ドリンクを楽しめる。
これらと並行して、一階のレストランスタイルではオードブル、温かいオードブル、スープ、魚料理と肉料理のアラカルトのほか、ランチタイムはオードブル、スープ、メーンディッシュ、デザート、コーヒーまたは紅茶のスペシャルメニュー二八〇〇円とオードブル、魚料理または肉料理、デザート、コーヒーまたは紅茶のランチセットメニュー一七〇〇円がある。
ディナーはアラカルトのほか、五〇〇〇円、八〇〇〇円の各コースと月替わりでフランス各地に伝わる地方料理をコースで紹介しているツールドフランスメニュー三八〇〇円とメニューの層が厚い。
サービス面も肩がこらないながらも最高をめざしており、キッチンのシェフとギャルソンを本場フランスから招へい。ディナーは生のピアノ伴奏が賑わいを華やかにする。「まずはブッフェでフランス料理のフルコースメニューを気軽に知ってもらい、そこからコース客にもっていく」という戦略が奏功している。さらに「レストランにあるものを家庭で食べてもらうのが物販のプレステージで、相乗効果が出ている」という強みもある。
オープン当時に比べると、平均して二五%程、低価格になっている。「客数が多くなってきたので、クオリティーを高くして価格を下げられる」ようになってきた。「今後はこういうクオリティーの高いレストランが台頭してくる」と見て、「ヘルシー」「アットホーム」「ダイナミック」と従来のフレンチ・レストランとは一味違うRBレストランに磨きをかけていく。
・所在地/東京都渋谷区神宮前四‐三‐三
・電 話/03・5474・0611
・営業時間/午前8時~午後11時30分(土・日・祝は午前11時30分~午後11時30分)、年中無休