施設内飲食店舗シリーズ 国際新赤坂ビル、地域有数の大型ツインビル
営団千代田線の赤坂駅から一分。地上二四階の東館、同一八階の西館から成るツインビルで、平成6年10月でオープンして満一四年になる。かつてこの場所は国際自動車の自動車教習場があったところで、それをスクラップアンドビルドをしての施設建設だ。
赤坂界隈では有数の大型ビルで、トーメンをはじめ、富士ゼロックス、岡村製作などの大手企業が入居している。
オフィス人口は約四〇〇〇人。来館者を含めると一日あたり一万人前後のビル人口になるが、これらの人たちの飲食ニーズに対応するために、オフィスサポートの飲食施設として、そば・うどん、すし、洋食など六店舗が出店している。しかし、これらの店は会社が休みになる日曜日は定休日になり、基本的には平日対応の営業形態になっている。また、赤坂はとくに休日は地域への来街者が激減するので、その分店舗への集客力が大きくダウンする。このため、日曜日にはオフィスも休みになるので、定休としているわけだが、平日でどう多く客数を確保するかが大きな課題だ。
■施設データ■
・名称/「国際新赤坂ビル」
・ビル所有者/国際自動車
・所在地/東京都港区赤坂二‐一四‐二七
・事業主体/ビルオーナー
・竣工/一九八〇年10月
〈東館〉・敷地面積/二三四〇坪
・延床面積/一万四五〇〇坪
・基準階面積/三〇〇坪
・階数/地上二四階、塔一階、地下三階
・駐車場/一三六台
〈西館〉・敷地面積/一六七〇坪
・延床面積/一万九〇坪
・基準階面積/三二〇坪
・階数/地上一八階、塔屋一階、地下三階
・駐車場/九二台
・オフィス人口/約四〇〇〇人
赤坂は「夜の街」というイメージが強いが、放送局のTBSがあるので、映像や芸能、広告関係のオフィスも多く、また、交通の利便性に恵まれているので、ホテルや大小の会社オフィスも林立しており、「ビジネス街」としてのイメージもある。
国際新赤坂ビルはTBSの近く、地下鉄千代田線赤坂駅に接する好立地にあるほか、同銀座線と丸ノ内線の赤坂見附、同有楽町線と半蔵門線永田町にも近接している。
さらに平成7年度内に開通予定の営団南北線、銀座線の虎ノ門と赤坂見附間に新駅の溜池が開設されることになっているので、ビジネス拠点としてのポテンシャルは一層高まることになる。
国際新赤坂ビルは東館地上二四階、地下三階、西館地上一八階、地下三階の二棟から成るオフィスビルで、地域でも有数の大型ビルとして、その存在感を大きくアピールしている。
ビルの事業主体は土地所有者の国際自動車(本社=東京・港区赤坂)だが、東館には三階から二二階までにトーメンが入居するほか、西館にはほぼ全フロアにわたって富士ゼロックス、他のフロアには岡村製作、ビルオーナーの国際自動車、日本下水道事業団、オーストラリア政府観光局、オーストラリア航空などの企業および公共機関が入居している。
これらオフィス人口は約四〇〇〇人。来館者を合わせると平日のビル人口は一万人前後になるが、これらビルの生活ニーズに対応するために、銀行、歯科院、美容外科院、リサイクルショップ、フォトショップ、飲食店舗なども出店している。
飲食店舗はオフィスワーカーたちの昼食ニーズや、アフター5の飲食ニーズに対応したオフィスサポートの施設展開で、東館の地下一階に、そば・うどん「赤坂更科」「赤坂福すし」、洋食レストラン「コージーコーナー」、スパゲティ「ハシヤ」、サンドイッチハウス「アカサカ」、コーヒーポート「ifc」の六店舗が出店している。
これら店舗は日・祭日休みの平日および土曜日にかけての営業で、オフィスの就業システムと連動する形での運営形態になっている。赤坂は銀座や渋谷、新宿、池袋などと異なって、平日の“ナイトレジャー”型の歓楽街で、休日の来街者は平日の半分から三分の一くらいに激減する。
このため、大半の店は日・祭日は休業にするという営業形態にある。とくに、バブル経済の破綻後は、低コスト志向によるオフィスの移転、会社合理化による残業の廃止などで、地域全体の昼間人口が減少しているので、それに伴って夜の飲食ニーズも弱くなってきているということだ。
このビルの来店者も夜の利用者数はバブル時代に比べて、二割前後はダウンしている。とくに週末の土曜日はオフィスワーカーに代わって、カップルやグループ、ファミリー客が主体になるが、客数は平日と比べて半分、店によっては営業時間を短くしているせいもあるが、平日の一割程度の入りというケースもある。月~金曜日までの平日の五日間で、客数を十分に確保し切ることが営業の必須の条件となっている。
平成6年11月オープンの新顔だ。同年4月まで営業していた店が退店したので、そのあとを継いでの出店だ。
店舗面積七二・五坪、客席数八〇席。この店は店名のとおり、カナダから輸入したフレッシュな食材を使って、野趣味ゆたかな料理を提供するのをテーマとしており、店のイス、テーブルもカナダ製、内装もカナダのログハウスをイメージしたウッディーな雰囲気を訴求している。
店の運営形態は午前11時30分から午後2時までが「ランチタイム」、午後1時から5時までが「ティータイム」、6時から11時までが「ディナータイム」というシフトで、ランチは鮭・いくら親子九〇〇円、ビーフステーキ茸・長芋、シーフードランチ、日替わりランチ各一〇〇〇円など。
ディナーはオマールのパートフイロ包み揚一四〇〇円、ずわいがにとキングサーモンのタルタルキャビア添え、キングサーモンの網焼き、銀だらのムニエル各一七〇〇円、オマールのオーブン焼き(ワイルドライス添え)三八〇〇円などが人気メニュー。
客単価は昼一〇〇〇円、夜四〇〇〇~五〇〇〇円で、客層は二〇~三〇代のヤング層が多く男性六割、女性四割の割合。
まだオープンして間もないので、ハッキリしたことはいえないが、やはり土曜日の客数が平日に比べ激減するので、土曜日の集客力アップが大きな課題だ。
この対応策としては「パーティーやミーティング客を集客していくために、今後営業活動を積極化していく」(一宮淑子店長)との考えだ。
月間売上げ目標一五〇〇~二〇〇〇万円。
平成6年11月オープンの新顔。店舗面積七二・五坪、客席数八〇席。カナダの木造り感覚が温かみのある雰囲気を出している
代々木本店、新宿店を含め二店舗を出店している。赤坂店はビルの竣工時にオープンしており、地域ではすでに広く知られた存在にある。店舗面積二〇坪、客席数(テーブル、カウンター)二七席、カウンター席はオープンキッチンを囲む形でレイアウトされており、厨房内の調理風景を楽しむことができる。
ゆで上げ麺はシコシコと歯ざわりがよく、ソース類も酸味の中にまろやかさがあり、麺とソース、具の一体化が満足度を大きくする。
人気メニューは、かきとほうれん草のスパゲティ(季節メニュー)一四〇〇円、海の幸の唐辛子入りスパゲティ一三五〇円、あさりとしめじ、しいたけ、納豆、キムチ入りのスパゲティ一五五〇円など。客単価は一三五〇円。客層は若い男女が大半で、平日はサラリーマンやOL。固定客六割以上。土曜日は家族連れが主体になる。
平日の一日あたりの来客数は三〇〇人強。土曜日は会社が休みになる場合が多いので、平日の五割くらいにダウンする。しかし、この集客数は同じビル内の他の店に比べ多い方で、善戦している客数だ。
平均日商五〇万円前後。売上げも目標を十分にクリアしており、スパゲティ専門店としての集客力を発揮している。営業時間は午前11時30分~午後8時30分。日曜日は定休。
代々木本店、新宿(野村ビル内)店と合わせ都内に三店舗を出店。赤坂店は一四年前ビル竣工と同時にオープン
店舗面積20坪、客席はカウンター、テーブル席合わせて27席。コンパクトな店だが、平均日商40~50万円前後をクリアする
店舗面積四〇坪、客席数五二席。営業時間は月~金曜日が午前11時から午後8時30分まで。土曜日は集客力が大きく落ちるので、午後2時までの営業となる。
人気メニューはざる五二〇円、天せいろ一〇八〇円、天ぷらそば八九〇円、かきあげそば、うどん各八四〇円などで、これら五品目で全体の七割近くの売上げ貢献度をみせる。
客層はトーメンなどビル内のオフィスワーカー(男性客)が中心で、メニューの内容から四〇、五〇代の中堅管理職が大半を占める。
平日の来客数は一日平均三〇〇~四〇〇人で、客単価九六〇円。土曜日は平日の一割程度の客数で、ほとんど開店休業といった状態だ。
「この店はオープンして一三年になるんですが、バブルがはじけたあとは客の入りが悪くなりました。会社の残業が少なくなってきたことで、店にくる客が減ったこともありますし、界隈のオフィスが安い家賃の場所に移っていって、地域の昼間人口が減少したということも大きな原因です。ですから、平日で客数をどう多く集客していくかが、現実の課題であるわけですが、なんとか目標はクリアしております」(真山講平店長)
月商八〇〇万円前後。
「更科」の“のれん”は都内約一〇〇店出ている。赤坂店はビル竣工一年後のオープン。店舗面積四〇坪、客席数五二席
業態柄ビル内の40、50代の中堅管理職に支持されている。人気メニューはざる520円、天せいろ1080円、天ぷらそば890円など