注目の繁盛店 居酒屋・味処「楽市楽座」横浜
安土桃山時代、特権階級に独占されていた商業(市)や工業(座)に対する制度を撤廃、誰もが自由に参入できるようにした政策“楽市楽座”これが店名の由来。
昨年の4月に横浜の官庁街、横浜開港資料館の隣にオープンした和風メニューを中心とした大型居酒屋(経営母体=(株)アドバンス)
一五〇坪、一七〇席という広い店内はテーブル席、カウンター席のほか、宴会用の五つの座敷とパーティールームも用意されている。
ところで飲食店の経営における重要なポイントの一つに“立地”もあげられるが、この面では県庁、市役所、NHKなど官公庁のど真ん中にある。それだけに利用客の約六割はこれらのサラリーマンとともに常連客。
割烹店のようなゆったりとした雰囲気の中で価格は居酒屋並みにリーズナブル。それでいてメニューは一九種の名物料理(毎月の板長おすすめメニュー・日替わりおすすめメニュー)のほか、刺身、焼き物、煮物、揚げ物に豆腐料理、イワシ料理まで含めて約二〇〇種類揃っている。
東京から通勤している名板長をはじめ五人の調理人によって料理、提供される。特に月ごとの「旬会席」は各種の旬の素材をベースに前菜、向付、煮物椀、揚げ物・替り皿、蒸し物、食事、デザートから構成され、あわせて三〇品以上の単品メニューが付き一人四〇〇〇円(四人以上)という超ビックリ価格。
単に価格引き下げだけでは客の増加が見込めない飲食業界の中にあって“本物をいかに安く提供するか”に挑戦し、これをキャッチフレーズにしているだけに数多いメニューはいずれも素材を厳選した逸品ばかり。また、余裕をもたせた席の配置で客への気くばりもいきとどき開店一年だが月商一五〇〇万円は下ったことがないという盛況ぶり。
この店は割烹店と居酒屋との中間に位置する店といったところだが値段は完全に大衆居酒屋クラス。飲み物(アルコール類)とフードの売上げ比率では飲み物が三五%。
横浜は中華街、伊勢佐木町に飲食店が集中している。それだけにこの地区ではその“立地”(官庁街)が懸念されたがこの不安もまったくなかった。
食材の仕入れについては、魚介類は築地市場(東京)から直接買付けしているのをはじめ、北海道の根室漁協などと仕入れパイプも確立しており、数年内には横浜地区に直営として一五〇坪クラスの大型店の新規出店(二~三店)も計画している((株)アドバンス営業部・加藤達夫氏談)
居酒屋タイムは午後4時から11時30分。お酒とともにおいしい料理を手軽に味わいたいという欲ばった人にはピッタリの店だが、なかでもおすすめメニューは鶏手羽先を揚げて焼きタレをつけた「手羽先楽市焼き」四八〇円、自家製の「さつま揚げ」六〇〇円、「鰯梅香り揚げ」六五〇円、「まぐろかま塩焼き」五八〇円、「じゃがいも和風ピザ」五八〇円、豆腐、ハクサイ、豚肉にとうがらしを混ぜた「かみなり豆腐」七〇〇円など。
午前11時から午後2時までは三〇種類以上のメニューによるランチタイム。「ざるうどん」五五〇円、「焼き魚定食」七五〇円、「日替り弁当」八〇〇円などがおすすめ。
また、ビールは大びんで五〇〇円(アサヒ・サッポロ各五五〇円)。日本酒は灘の「菊正宗」一筋というこだわりも見せている。客単価はランチタイムが七〇〇~八〇〇円、居酒屋タイムは酒類も含めて平均三五〇〇円といったところ。
◆味処「楽市楽座」(居酒屋)/経営母体=(株)アドバンス(本社=横浜市中区本町一‐七東ビルB1F、Tel045・651・1551)/店舗数=直営店一店舗