FCビジネス点検(4) イタリアン・トマト 女性ターゲットに4タイプ
イタリアン・トマトはパスタとケーキ(喫茶)が売りもので、若い女性層に「イタトマ」の愛称で知られている。
イタトマは単に食の提供ではなく、「愛」「歌」「食」「スポーツ」を基本テーマに、豊かな生活創造の提案を第一義にしている。
会社創業は昭和50年だが、マネージメントの弱体化で60年代に入って経営が悪化、このため62年4月にアミューズメント企業の(株)ナムコ(本社・東京)に買収されて、新体制でスタートしている。
今年7月末現在、店舗数は直営四〇店、FC一三八店の計一七八店を数えるが、主力の「イタリアン・トマト」(五三店)ほか、「イタリアン・トマトカフェ」(四八店)、「イタリアン・トマトケーキショップ」(五七店)、「食べ放題伊太都麻」(一六店)の四業態を含めての出店だ。(ほかに新業態の「カラオケパーク」四店舗展開)。
立地環境や物件規模、加盟店オーナーの事業意欲によって、出店形態が異なってくるということだが、FCシステムは、(1)食の提供に加えスポーツ、各種イベント開催によるプラスα提案(2)コックによる手作り料理の提供(3)アメリカンタイプで、新鮮なフルーツと洋酒入り生クリームを使った自家製ケーキの提供‐‐の三要素に特色があり、店の運営のアクティブさと手作り、オリジナリティのメニューに訴求力を持たせている。
イタトマの主力ターゲットは、感性豊かで行動力および購買力のある若い女性層(一八~二五歳)であるので、生のオペレーションと商品そのものに、付加価値を持たせているということだ。
店舗面積はレストランタイプで三五~五〇坪、客席数四五~六五席。開業資金は三〇〇〇~六〇〇〇万円(物件取得費を除く)。
メニューはパスタ、リゾット、ドリア各九〇〇円、ケーキ類五五〇円、コーヒー三五〇円などメニュー数は約一二〇種。客単価は一〇〇〇~一二〇〇円前後。
売上げは月商八〇〇万円、粗利六四%、純利益一〇%、大手飲食ビジネスにおいて純益が一五~二〇%前後を占める企業が多いのに比べると、決して収益力が大きいとはいえないが、しかし、高感度の飲食ビジネスを展開していくことにおいては、イタトマへの加盟希望は多い。
「食を通じて若い人たちの“感性”を育み、そして、レストランサービスの枠に捉われない若者のライフスタイルの一翼を担う。これが私どもの企業ポリシーですので、この考え方に共鳴して下さる方々とのFCビジネスを取り組んでおりまして、すでに店舗は北海道から沖縄まで全国に展開しております」(取締役社長室長美田真人氏)
若者のライフスタイルといえば、各店舗をベースに全国で三万人以上の「クラブ会員」を組織しており、コンサート、ミュージカル、スキーツアー、ディスコパーティーなどいろいろなイベントを実施、店舗への来店動機の喚起はもとより、顧客間の交流を支援している。
FC加盟の条件は、エントリーフィー五〇万円、ジョイントフィー一坪当たり、一五万円(一〇坪未満は一律一〇〇万円)、ロイヤリティーは売上高の四%。
このほかに、希望があればエリアフランチャイズ権として、二〇〇万円プラスエリア人口一人当たり一円という条件もある。
本部の審査(フランチャイジー)にパスすれば、店舗の設計からオープンまで一貫した開設支援を受けることができる。
開店後の食材供給については、ソース類、生クリーム、乾麺、ケーキ、コーヒーなどのPB商品はすべて本部扱い。これ以外については店舗サイドで手当てすることができる。
メニュー政策については、グランドメニューにおいては「レシピ」を統一しているが、地域にかなったメニュー導入については、FCオーナーの判断に任せている。
地域性を考慮した弾力性のあるFCビジネスを展開しているということだが、一オーナーが一〇店舗前後を出店するというケースもあり、チェーン展開は好調に推移している。
年間出店ペースは二〇~三〇店。九五年度はトータルで一九〇店、売上げ一四〇億円の目標を立てている。
・社名/(株)イタリアン・トマト
・所在地/東京都港区六本木五‐一六‐二二
・電話/03・3505・2681
・設立/昭和62年4月
・資本金/四億六一八七万五〇〇〇円
・代表取締役社長/遠藤勝利
・出店数/一六八店(直営四〇店、FC一二八店)
・年商/一三〇億円(九四年度)
・出店計画/一九〇店
・売上げ目標/一四〇億円(九五年度)