お店招待席=「TAPAソリッド川崎店」 きらめくリゾート感覚
川崎市は、かつての工業地帯のイメージを大きく変え、駅周辺再開発によりビジネス・商工の街として若者たちに人気のある街と化している。
この川崎市のJR川崎駅西口、明治製菓川崎工場跡地に「ソリッドスクエア」が今年5月に竣工した。「TAPAソリッド川崎店」は、このソリッドスクエア一階エントランスに続くアトリウム脇にオープン、東口に次ぐ川崎市での二号店となった。
TAPA全店のテーマである「人生をリゾートする」をキーワードに、日本風な川崎大師のイメージを打ち破った多国籍料理を打ち出す。
店内は、オープンキッチン、カウンター席、ダイニングテーブル席、テラス席、バーカウンター、石釜を使ったピッツァファクトリー、宴会個室など、すべてリゾート感覚のゆったりした空間スペースと調度品が配されている。
市を挙げての工業地帯イメージ脱皮を後押しして、東口が二〇代前半の女性をターゲットに、西口のソリッド店は年齢を上げた三〇代女性を取り込むことによって新しい街づくりを図る。
「男性の場合、酒はどこで飲んでも同じ。ここは女性がターゲットだけに、雰囲気と料理の充実に力を入れています」(山本店長)
TAPA一四チェーン中、ソリッド川崎店は一〇品ばかり品数を多くしたり、女性に好かれるよう「見て、食べて、楽しんでもらうメニュー」づくりに励む。
「極楽コロッケ」は、ゆで卵をハヤシライスで包みコロッケ風に揚げたものだが、「ボリュームがあるため、半信半疑でメニューに乗せたところ、意外に受けて人気メニューの一つとなった」。
ソースの味付けも、マヨネーズ、クリーム系、バターが受けることから、これらをとり入れて全体に柔らかい味に仕上げる配慮をする。
「帆立と大根サラダ」のソースは、マヨネーズをベースに焼肉ソース、練り梅を入れることでマイルドな中にも深味のあるものにしている。
そのほか「サラダピッツァ」では、白味噌とマヨネーズをベースに唐揚げチキンを乗せ、焼成後、レタス、キャベツ、エシャレットなどをトッピングしたり、そうめんのつゆに、ごま油、ラー油を入れたりと、さまざまな工夫が奏功し、なかなかの人気。
グランドメニューのほか、日替わりメニューを置き、人気が定着すればグランドメニューに組み入れるシステム。そのため、スタッフ全員がメニュー開発に何らかの形で参加し、TAPA全チェーンでは月一回、一般の人(女性)を審査員に加えてのメニュー発表会を設け、該当者には金・銀・銅にそれぞれ一〇万、五万、一万の褒賞金を出すほどだ。
「メニューに食べてまずいものはないが、記憶に残るインパクトあるものを残し、目玉商品をつくっていきたい」
現在、宴会・パーティーを入れ、売上げの構成比は、料理五・五対ドリンク四・五の割合だが、六対四にしたいと、フードに力を入れる。
オープンして間がないため近隣オフィスの男性が多いが、女性を意識したメニュー、味つけ、雰囲気、サービスにより、新しい客層を取り込めば、ソリッドスクエアの強力な目玉的存在になるだろう。
料理と店の雰囲気が好きで来るという江間直代さん。友達と軽く飲みながらおしゃべりする時は、若者でいっぱいの東口店より、比較的年齢層の高い西口店が落着けるという。
会社の人たちと大勢で来ると、カラオケのある個室を使い、心おきなく歌いまくり、目的により使いわけている。
料理の味付けは、くどくなく、おふくろの味的なのが気に入っており、豊富なメニューに目移りし、隣の客のおもしろそうなものをつい頼んでしまうという。
また、外からも見える石釜で焼くピッツァは、大のお気に入り。なかでもサラダピッツァは、絶対コレ!というほど。ドリンクは、まず焼酎割り、それからカクテルを楽しむ。
何回か通っているうち、スタッフとも気軽に話せるようになり、また来ようという気持ちになるという。
リゾートをテーマにした店舗。南欧地中海をイメージしたテーブル席、エキゾチックな雰囲気を漂わせるタイ風掘りごたつ席など、広くゆったりした店内は、各スペースの持ち味が出ている
「TAPAソリッド川崎店」
〈創業〉平成7年5月
〈所在地〉川崎市幸区堀川町五八〇、ソリッドスクエア1F、Tel044・548・9111
〈営業時間〉午前11時~午後10時
〈店舗面積・席数〉一〇〇坪一八〇席、テラス四〇席
〈従業員数〉正社員九人、アルバイト二〇人
〈客単価〉昼七八〇~九八〇円、夜三〇〇〇円弱
〈一日来店客数〉昼二〇〇人、夜三〇〇人弱
〈平成月商〉一八〇〇万円~二〇〇〇万円
〈客層〉女性をターゲットにするが、現在三~四割が女性
★極楽コロッケ …………………480円
(ゆで卵を芯にハヤシライスで団子にして油で揚げ、マヨネーズで食べる)
★豚肉と大根のじっくり煮込み……… ……………………………………650円
(家庭で少なくなった煮込みが、おふくろの味として人気)
★帆立と大根のサラダ …………580円
(大根をカツラむきにし、7~8センチメートルの短冊切り。これを浅漬風にしんなりさせ、ドレッシングをかける)
★ボンバーと生ハム …………1〓000円
(ピッツァ生地を焼き上げ、生ハムを添える。中は空洞だが、崩してチップス風にハムと一緒に食べる)
★その他ピッツァ全般…800円~850円
(ペスカトーレ、生きのこ、サラダピッツァ、まいたけのパイ包みなど)