特集・健康ブームで食品見直し “悪玉”も実は“善玉” 「砂糖」
健康ブームの「ヘルシー」という言葉は糖分の否定をして成り立っている。これらに正しい理解を求めて活動するのは精糖工業会(東京都千代田区、03・3262・0178)である。同工業会は「お砂糖“真”時代協議会」を設立して砂糖はナチュラルでクリーンなエネルギー源であり、ゆとりある豊かな食生活には欠かせないことを啓蒙している。まずは九つの不思議とは(1)親水性(2)メレンゲの泡の安定(3)浸透圧(4)ゼリー化(5)でんぷんの老化防止(6)焼き色を付ける(メイラード反応)(7)熱を加えると状態がいろいろに変化(蜜、ドロップ、カラメルなど)(8)脂肪の酸化防止(9)防腐性。大変重宝な調味料なのである。
以下日ごろの砂糖に対する疑問について(社)日本栄養士会の「食品を健康的に食べるシリーズ」から抜粋する。
Q 砂糖は酸性食品ですか?
A 酸性食品ではありません。また、酸性食品、アルカリ性食品の分類は栄養学的に無意味なことです。人間の体にはpH(酸性やアルカリ性の度合い)を調節する物質(重炭酸塩や種々のタンパク質など)がふくまれ、それに腎臓や肺の動きも加わって血液(体液)は常に弱アルカリ性に保たれています。
Q 砂糖はカルシウムを奪ったり破壊したりするのですか?
A これは砂糖が体を酸性にし中和するために、カルシウムが使われるということを論拠にしているようですが、誤った表現です。食品によってからだが酸性やアルカリ性に傾くということは科学的にまったく根拠がありません。
Q 砂糖が肥満の原因になっているのですか?
A 食べ過ぎや規律のない食生活、運動不足が肥満の原因であり、砂糖が原因のすべてではありません。砂糖に限らず、エネルギー源になる食べ物を必要以上に食べれば、エネルギーの余った分は脂肪となって体内に蓄積されるので太ることになります。運動してエネルギー消費量を高め、体も心も健康になることを勧めます。
Q 砂糖は成人病と関係があるのですか?
A 直接成人病を引き起こすことはありません。成人病の代表である糖尿病にしても遺伝的な素質が過食、肥満、運動不足などの後天的な要因と重なって起こります。取りすぎに注意しなくてはいけませんが、適度な利用で食事内容を豊かにすることは大切です。