喫茶特集 アメリカのコーヒー事情 全日本コーヒー商工組合連合会・長谷川浩一会長
米国では大手企業が薄口のアメリカンコーヒーを缶詰で販売して市場を広げてきた。しかし、安かろう悪かろうといった消費者の認識が深まるにつれ、ここ二〇年~三〇年は若者を中心にコーヒー離れが進んでコーヒー需要を下げてきた。
ところが、数年前から異変が起き、コーヒー需要が多いに盛り上がってきた。その牽引となっているのが従来のアメリカンコーヒーとは全く違うグルメコーヒーであり、スペシャルティコーヒーブーム到来となって市場に活気が出てきた。
このような現状を目の当たりにして昨年6月に当協会で「米国コーヒー事情視察団」を組んでロサンゼルスとニューヨークの二大都市を視察し、参加者一同新たな感銘を受けて帰国したのが半年前である。私は、スペシャルティコーヒー、あるいはグルメコーヒーの定義は(1)良質な産地別志向のコーヒー豆。それもガテマラならグレードとどこの農園で収穫したかというストーリー性のある物が対象(2)エスプレッソとかカプチーノ、フレーバーコーヒーといったコーヒードリンクの形態の二つがあると思っている。これらでお客が若干高くてもおいしければリピートしているのが米国の現象だ。
差別化対策の一つに「豆のブランドを作る」ことが急務と思っている。他店と差別化できるのはブレンドだが、ブランドの伴ったブレンドであれば、なお競争に強くなる。私事になるが私の日東珈琲(株)ではブラジルの無農薬の豆をじかに持ってきて「森のコーヒー」として提供している。健康ブームの中、オーガニックも一つのスペシャルティコーヒーかと思う。
いずれにしろ、新しい潮流が米国から発信されていることは確かであり、協会ではこの機をとらえ、喫茶店さんと共に市場活性化につなげていきたいと思っている。