メニュートレンド:付加価値倍増!ドライエイジングビーフ 「Tsui-teru!」

2013.05.06 410号 02面
薬味は塩とワサビだけで熟成肉の香りと食感を損なわない食べ方を提案。熱々のフライドポテトを下に敷き保温効果を狙う。またポテトも肉汁を吸うことで、いっそうおいしさが増す

薬味は塩とワサビだけで熟成肉の香りと食感を損なわない食べ方を提案。熱々のフライドポテトを下に敷き保温効果を狙う。またポテトも肉汁を吸うことで、いっそうおいしさが増す

JR中野駅北口の中野サンモール商店街脇の飲食店街がひしめく通りの2階に立地する

JR中野駅北口の中野サンモール商店街脇の飲食店街がひしめく通りの2階に立地する

 この1~2年で「ドライエイジング」の熟成肉を看板メニューに打ち出す店が急増している。ただでさえうまい牛肉を1ヵ月以上熟成させ、香りと味わいを倍増させることで、強力な付加価値を生み出す技術だ。これまで高級店でしか味わえなかった熟成肉の低価格化に挑戦し、お客の絶大な支持を得ているのが、東京・中野の「肉食系ビストロ&ワイン酒場 Tsui-teru!(ツイテル!)」である。

 ●店内熟成で演出と低価格化を実現

 牛肉の熟成方法は、雑菌が繁殖しない専用の熟成庫内に塊肉をぶら下げて熟成させるドライエイジングと、真空パックして雑菌の繁殖を防いで熟成させる「ウエットエイジング」の2通りがある。

 ドライエイジングは、一定の温度、湿度、風量に保った専用熟成庫内で、特定の微生物だけを肉の表面に付着させ、4~8週間熟成させることで、肉のタンパク質がうま味成分であるアミノ酸に変化。同時に肉に含まれる水分が1~3割も飛んで、肉のうま味と香りが濃縮する。

 専用の設備が必要で場所もとるため専門業者から仕入れるのが一般的だが、同店ではメーカーと共同で熟成庫を開発し店頭に設置することを決意した。「自分で熟成させれば、専門業者から仕入れるよりコストが下がるし肉の種類も選べる。だからドライエイジングの熟成肉をリーズナブルに提供できるのです」と店長の青柿圭太さんは語る。

 ドライエイジングの熟成肉はアンガス牛肩ロースとやまと豚ロースの2種類。調理法は炭火焼きのステーキだ。200gと圧巻のボリュームながら1480円のお値打ち価格で、注文率は9割にも達する。また、本日のお薦めとして国産銘柄牛やエゾ鹿などの熟成肉を提供。ドライエイジングは、本来牛肉だけの熟成技術だが、牛肉以外の肉も積極的に挑戦してオリジナリティーを打ち出している。

 ステーキはミディアムレアの焼き加減。熟成肉の持ち味である風味を損ねてしまわぬよう、炭火で表面に焼き目を付けた後は、極遠火で30~40分かけてじっくりと芯まで加熱する。食べると米国産牛の赤身肉とは思えないほどの軟らかさで、うま味はまろやかで濃厚。かむほどにナツのような芳醇な風味が広がる。

 「ドライエイジングの肉を出す店が増えてきているが、当店の売りである赤身肉でリーズナブルな熟成肉を追求していきたい」と青柿さんは抱負を語る。

 ●店舗情報

 「肉食系ビストロ&ワイン酒場 Tsui-teru!」 店舗所在地=東京都中野区中野5-36-5 AKビル2F、電話03・5345・7215/開業=2011年10月/営業時間=午後5時~深夜0時(土・日・祝日は午後4時~)、不定休/坪数・席数=57坪・115席/客単価=3000円

 ●愛用資材・食材:「フルール・ド・セル」

 販売=伯方塩業(愛媛県松山市大手町)

 商品名の「フルール・ド・セル」とはフランス語で塩の花の意味。ゆっくりと時間をかけて結晶させた大粒の塩。おだやかな塩味が特徴。カリッとした歯応えがあり、つけ塩に最適。同店では熟成肉ステーキの味付けに加えて、つけ塩としても使用している。「熟成肉の香りや味を邪魔しないシンプルな塩味が採用の決め手となった」と青柿さんは語る。伯方塩業は1973年に創業。同商品の他に看板商品の「伯方の塩(粗塩)」「伯方の塩・焼塩」がある。

 規格=150g、1kg(常温)

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