女性店主に聞く!女性をつかむラーメン最前線:らぁ麺 胡心房 記憶をテークアウト
「味玉らぁめん」800円(税込み) 敵はラーメン悪役イメージそのもの
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●低温熟成で脂をコントロール
ラーメン激戦区、東京・町田市の駅近くで、2005年から開業している「胡心房」は、味へのこだわりはもちろん、女性中心のスタッフによる丁寧な接客サービスが人気の名店。看板メニュー「味玉らぁめん」は、あっさりとした魚介と、深い味わいの豚骨を炊き合わせた重層的な味わい。一見男性客が好むようなしっかりとした作りのラーメンだが、男女比は6対4と、女性のファンも多く魅了している。
しかし、「ラーメン店としては男性客がメーンの客層であることは変わりません。特別に女性を狙ってメニュー開発したというわけではないんです」と、野津理恵店主は語る。それでも女性客が多く訪れるのは、脂の使い方にある。
「スープは、夜のうちに冷蔵庫で低温熟成させているんです。そうすると脂が分離するので、脂を取り除いた、すっきりとした脂分の無い豚骨スープが出来上がります。提供するときに、取り出した脂を温めて一定の割合で戻すことで、脂が少ないスープにできます」と、野津店主。脂が入り過ぎないように調整し、豚骨の重厚感は残しつつも脂のしつこさを極力カットしている。
「以前、女性のお客さまで“おいしかったけど、体に悪いから”とスープを残された方がいたんです。“脂肪分の塊”というラーメンの悪役イメージをどうにか払拭したいと思いました」と、野津店主が語るように、男女ともに納得できる一杯を目指し“脂に頼らないラーメン”にたどり着いた。
また、“記憶をテークアウトしてもらうこと”を重視し、「味と接客の両輪で店舗全体のバランスを高めることが何よりも重要」だと野津店主。髪留めや紙エプロンを貸し出すなど、女性への配慮も充実。スタッフも女性を中心に配置しており、その理由を「女性は接客のアドリブ力が高いんです。子どもや高齢者が来店した時など、ちょっとした気遣いが必要な場面で、相手の立場で迅速に行動できるのは女性が多いと思います」と、野津店主は語る。対応力の高い接客で、男女問わず高評価を得ている。
「メインである男性は大事にしつつも、女性を応援し、応援される店でありたいです」と、野津店主。“味と接客”“男性と女性”全てを納得させるハイクオリティーなラーメン店を追求していく。
●店舗概要
「らぁ麺 胡心房」 所在地=東京都町田市原町田411/開業=2005年/営業時間=火~土 正午~午後3時、6時~9時、日・祝 午前11時30分~午後6時、月曜定休/坪数・席数=約12坪・14席/1日平均客数=約150人