マッチで偲ぶ外食史:紅花 ハリウッド映画にも登場した米国における日本料理店のパイオニア

2019.05.06 483号 13面
※マッチは筆者のコレクションです

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 海外で知られる日本料理のレストランといえば、必ず名前が挙がるブランドの一つが「紅花(BENIHANA)」だろう。1964年、ロッキー青木氏がニューヨークのマンハッタンに1号店を出店した鉄板焼きレストラン「ベニハナ・オブ・トーキョー」は、北米のみならず中南米にまで進出するほどの規模に成長する。現在、米国法人ではフランチャイズ店や寿司業態などを含めて100店舗ほどを展開しているようだ。

 「ベニハナ・オブ・トーキョー」は、料理や和風の装飾などとともに、鉄板焼きシェフの派手な調理パフォーマンスが話題となり米国で人気を集めた。映画やテレビドラマにもたびたび登場し、日本の食文化がさほど知られていなかった当時は、そうしたパフォーマンスが日本料理のスタンダードだと勘違いしている米国人もいたらしい。2008年に亡くなったロッキー青木氏自身もまた、熱気球で太平洋横断に挑戦するなど、目立つことが大好きなパフォーマーでもあったという。

 米国で成功した「紅花」だが、その創業は青木氏の両親が日本で経営していた飲食店にさかのぼる。日本法人のホームページには、昭和12(1937)年の創業と記されている。日本の節目となった年だ。

 このマッチには、日米両方の店舗情報が記されているが、現在、双方の法人に直接的なつながりはないようだ。箱の裏面に記載されていた電話番号から、このマッチは91年~97年ごろのものと思われる。当時は日本でも20店舗ほどあった。JRの駅ビルなどにも出店していた有名店だったのだ。

 (イートワークス代表 入江直之)

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