メニュートレンド:フルーツカレー 一番売れないメニューが大逆転

2020.03.02 493号 01面
フルーツカレー 1,850円(税込み)

フルーツカレー 1,850円(税込み)

(右)ライスが皿にこびり付かないように、バターを薄く塗る、(左)タルトのように円形に仕上げるために型を使用。直径は16㎝

(右)ライスが皿にこびり付かないように、バターを薄く塗る、(左)タルトのように円形に仕上げるために型を使用。直径は16㎝

 内食でも外食でも、定番の王道を行くカレー。そのトレンドをたどると、スープカレー、カレー鍋、白カレー&黒カレー、スパイスカレーとブームをつくり、もはやカレーネタは出尽くしたかと思いきや、いやいや、まだあった。カレーのポテンシャルの高さを見事に表現したのが、「ア ヴォートル サンテ エンドー」の「フルーツカレー」だ。

 ●フルーツタルトをイメージ

 「フルーツカレー」誕生のきっかけは、常連客のリクエストにある。「当時は“バナナダイエット”というのがはやっていて、お客さんからカレーにバナナを丸ごと一本のせてほしいと言われて……。うちのカレーのルウにはリンゴやチャツネの他にバナナも入っているから、バナナをトッピングしても合うかなと思い、リクエストにお応えしました」と語るのは遠藤克己オーナーシェフ。

 当初はバナナだけのつもりが、メニュー化してみると料理人としての発想が広がった。「どうせ果物を盛るなら華やかさを出そう。イメージはフルーツタルトだ」ということになり、このビジュアルに。

 ところが、これが売れなかった。「月に1回出るだけ。しかも毎回同じお客さん」と、いつまで経っても日の目を見ない。転機は、“一番出ないメニュー”を紹介するあるテレビ番組がきっかけで訪れた。カレーにフルーツをトッピングするという独創性と見た目の美しさがウケて、次々とマスコミに取り上げられるように。さらにSNSでも拡散。同メニューが来店動機につながり、店の知名度が上がって来客数が増加した。

 「さっぱり売れなかったときでも、メニューブックから外さなかったのは、他のメニューでも使用する食材で作れたので、わざわざ用意しておくものがなかったから」。オリジナリティーがあり、コスト負担を最小限に抑えられるメニューなら、今売れていなくても、一発逆転のチャンスがありそうだ。

 ●店舗情報

 「ア ヴォートル サンテ エンドー」 所在地=東京都中央区銀座5-9-5 田創館ビル2階/開業=1989年/坪数・席数=27坪・45席/営業時間=12時~15時、18時~23時。月曜休/平均客単価=昼1500円、夜4000~5000円/1日平均集客数=約60人

 ●愛用食材

 「コリアンダーホール」 ギャバン(東京都中央区)

 カレーに爽やかな香りを添える

 厳選した材料を使用したプロのニーズに応えるスパイス。肉料理やカレーなどに、甘く爽やかな香りを添える。「うちのカレーの特徴は、フードプロセッサーを使わずに手切りした玉ネギのみじん切りをよく炒めて甘さを出すこと。このスパイスはその甘さを引き立て、風味をプラスしてくれる欠かせない一品です」と遠藤オーナーシェフ。

 規格=100g

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