メニュートレンド:アート気分で楽しむ肉料理 彩り配列にセンスが光る
KAMAKURAパレット メスコラーレ 1,980円、ミニ1,280円(各税込み) 食材は、左からA4ランク和牛のタルタル、卵黄、モッツァレラチーズ、ドライトマト、フレッシュパセリ、紫玉ネギ、ピクルス、スライスナッツ、おろしニンニク。仕上げに和牛タルタルの表面をバーナーで軽く炙り、香ばしさをプラスしている(※写真は炙る前のもの)
近年、生肉メニューの復権が著しい。正しくは“生肉”ではなく、低温調理を施した刺身やユッケ、タルタルなどのことだ。さらに、提供店が増えたことで競争が激化。付加価値を高めるためメニューの個性化が進んでいる。その好例の一つが東京・新宿と錦糸町にある「かまくら個室ビストロ KAMAKURA」の「KAMAKURAパレット メスコラーレ」だ。
●混ぜるアクション+美的感性
パレットとは絵を描くときに使う絵の具を混ぜるための板、メスコラーレとは“混ぜる”を表すイタリア語のこと。料理はいわゆる「牛肉のタルタル」なのだが、盛り付けられたビジュアルは、極めて料理っぽくない。「“食べられるアート”をコンセプトにしました。商品開発全体に言えることですが、新メニューのヒントを既存の料理以外から見つけるように日々努力しています」と高橋涼大料理長は語る。
木目がシックな木枠の器は絵画の額縁を思わせる。整然と並べられた色とりどりの食材は、幾何学的な模様か抽象絵画のようだ。食材を“絵の具”に見立てて、それぞれ分けた状態で盛り付け、客はまるで絵の具を混ぜて自分好みの“色”を作るように、自分好みの“味”を作ることができるというわけだ。
メイン食材である牛肉のタルタルには、A4ランクの和牛を使用。肉質が軟らかく、サシと赤身のバランスがよい“ザブトン”の部位を厳選している。低温調理されているが、芳醇な食感やジューシーな甘味は生肉そのもの。卵黄を割り、彩りになっているモッツァレラチーズやフレッシュパセリなどと混ぜ合わせることで味わいに複雑さが生まれる。
「お客さま自身が召し上がる直前に仕上げをすることで、食事の体験がより楽しくなると考えました」と高橋料理長。しかも、同品の開発にあたりイメージに合った皿が見つからなかったため、社内の施工担当者が一枚一枚手作りしているというほどの入れ込みようだ。
注文は圧倒的に女子会客だそうだ。見た目に美しく、混ぜ合わせるワンアクションも楽しさや動画映えにつながっているのが注文要因となっている。他にも花束のブーケのように盛り付けたサラダや炎に包まれたハンバーグなど、独創性の高い料理を揃えて若者客を強力に集客している。
●店舗情報
「かまくら個室ビストロ KAMAKURA 新宿店」
経営=IFREAグループ/店舗所在地=東京都新宿区新宿4-1-13 田園新宿ビル7階/開業=2021年9月15日/坪数・席数=30坪・100席/営業時間=16時~23時。年末年始休/平均客単価=4000円
●愛用食材・資材
「雪塩」 宮古島の雪塩(沖縄県宮古島市)
ギネス認定の高ミネラル塩
「世界一ミネラル分を含む塩」として知られる同品を、牛肉タルタルの調味に使用。塩とコショウだけのシンプル調味で、肉に上品なうまみを付与する。粒の大きさも一般的な塩の4分の1ほどと細かいパウダー状なのも特徴。
規格=500g、3kg、10kg