繁盛店のまかない:面倒くさいが生んだヒット商品
●豚角煮を揚げて香ばしさ際立つ
月間2千500個を売る半熟卵のからあげ「からたま」をはじめ、メニューの9割が卵を使った創作料理で占める繁盛居酒屋「殻YABURI藤沢店」。
アルバイトスタッフなど早上がりのスタッフには就業終了のタイミングで、増田克也料理長がまかないを個別に作っている。通常はまとめて作ることができるカレーなどが中心だが、時には余った食材を適当に組み合わせて間に合わせることもあるそうだ。そんな「適当に作った」ものが思いがけずおいしく出来上がり、商品化に至ってしまうなんてことがあるのが料理の醍醐味だ。
「たまたまその日はアルバイトのコタローが上がるタイミングに注文が集中してしまってテンパっていました。角煮丼ならすぐ出してあげられると思ったものの、手鍋で温め直すことすら面倒だからフライヤーで揚げてしまえ、と」と増田料理長は笑う。ところがそれを食べたコタローさんは「何だコレ!食べたことない!」と絶賛。その後もリクエストされるほどの人気まかないとなったことから、同店の締め商品に昇格となった。
角煮は素揚げしただけだが表面がカリッと揚がって香ばしく、中はしっかり味が染みこんでほろりとほどける軟らかさ。これに岡山県産「和たまご」の半熟卵とパンチの利いたニンニクアンチョビソースが絡まることで、背徳の食欲増進力を発揮。ひと息つく間もなく完食してしまう。
同店では新メニューの試作を兼ねてまかないを作ることも多いという。日頃の試行錯誤グセが新商品を引き寄せたのではないだろうか。
●店舗情報
「殻YABURI 藤沢店」
所在地=神奈川県藤沢市鵠沼橘1-17-15 関野ビル4階