話題の店WATCH:高価格帯業態が活発化 老舗店の「進化」と「復活」
昼は御前セットとコース料理、夜はコース料理のみを提供。「【一人ひと鍋】黒毛和牛すき焼きと河豚会席」(1万4,520円・税込み)は、前菜9品、御造り(鉄刺し、皮刺し、マグロ、甘エビ)、蓋物(ブリと大根の炊き合わせ)、黒毛和牛すき焼き陶板、フグ唐揚げ、フグと京揚げの炊き込みご飯、抹茶プリン(小豆、梨)が並ぶ/「個室会席 北大路 赤坂茶寮」
物価上昇から消費者の外食選びもコスパ重視の傾向が続いている昨今だが、一方で「外食だからこその付加価値」を求め、普段の外食は節約志向を強めながらも「たまに行く外食の非日常感」を堪能したいと、プレミアム志向の高まりも見られる。そうしたニーズを背景に、高価格帯業態の動きが活発になっている。
1927年に創業し、銀座エリアを中心に本格会席料理「個室会席 北大路」などを展開する大東企業が10月、赤坂・永田町の一等地にある「個室会席 北大路 赤坂茶寮」をリニューアルオープンした。同店は250坪・216席の大型店舗で、2~80名まで対応できる全室完全個室のつくり。同社は「板前オープンスクール」を開講するなど板前の育成に積極的で、板前の経験値を上げるために来店客に緊張感ある調理光景を披露する舞台のような位置づけで、オープンキッチンを採用した。また、「今の時代はお座敷文化からイスの文化へと移行している」(同店広報)ことから、従来の座敷スタイルからテーブル席と掘りごたつ席に変更するなど、“新しい時代の本格日本料理店”を目指している。客単価は1万2000円~1万3000円と高価格帯だが、「以前はビジネスの接待利用が中心だったが、近年は家族や親戚同士の会食など“家族接待”が増えている」(同)という。
高級中国料理店「銀座楼蘭」の復活劇も興味深い。1971年にホテルパシフィック東京(現在は閉館)内に誕生した中国レストラン「楼蘭」は、82年には銀座コアビルに「銀座楼蘭」を出店。フカヒレなどの高級食材を使った華やかな広東料理の名店で知られたが、21年に閉店。この閉店を惜しみ、常連客であった江連昌愛氏(現代表取締役)がジャパンダイニングを設立し、当時の料理人やスタッフを再結集して23年3月に「銀座楼蘭」復活を実現した。
現在の「銀座楼蘭」はかつての味をそのまま受け継ぎながら、時代に合わせた新メニューも積極的に採用し、評判を呼んでいる。「銀座×高価格業態」はインバウンド客がメインという飲食店も多いが同店の客層は外国人観光客は少数派で、8~9割は当時の「楼蘭」ファンが占めているという。長く愛され、常連客をしっかりと掴んでいた名店ののれんの強さをうかがわせる。
●店舗情報
「個室会席 北大路 赤坂茶寮」
経営=大東企業/店舗所在地=東京都千代田区永田町2-13-5 赤坂エイトワンビル地下1階/営業時間=11時30分~14時、17時~22時30分、土曜11時30分~15時、17時~21時、日祝11時30分~17時。不定休
「銀座楼蘭」
経営=ジャパンダイニング/店舗所在地=東京都中央区銀座7-9-15 GINZA gCUBE 10階/営業時間=火~日曜11時30分~22時。不定休











