話題の店WATCH:「俺のステーキ」「月島もんじゃ」に見る時流に対応した戦略的進化
【俺の炭火焼ステーキ 渋谷】「黒毛和牛ステーキコース」 9,000円(税込み) 「俺のBakery」のパン2種食べ放題に、前菜盛り合わせ、サラダ、オニオングラタンスープ、牛すじ煮込み、黒毛和牛150gを使用したステーキ、デザートが付いたコース
「俺のイタリアン」「俺のフレンチ」などを展開する「俺の」ブランドに、新たなステーキ業態が加わった。10月に1号店の「俺のステーキ 新宿」を、11月には「俺の炭火焼ステーキ 渋谷」をオープン。さらに恵比寿、吉祥寺と出店を進め、この半年間で5店舗の拡大を予定している。
「俺の」ブランドは2011年に「俺のイタリアン 新橋本店」を開業した。食材の原価率を高く設定し、立食形式により回転率を上げることで、高級食材を使った料理を割安で提供。このスタイルでイタリアン、フレンチ、焼肉、和食系など多くの業態を展開し、行列店を実現した。
しかし、「上質な料理を食べる店舗として立食は時代に合わなくなった」(立石寿雄同社社長)と、近年は立食スタイルを廃止。多業態を展開する強みを生かし、食材の仕入れを集約することで原価を抑え、「高級料理を手頃な価格で提供する」という方針は維持している。
「俺のステーキ」は、現在7店舗を展開している「俺の焼肉」業態が国内客・訪日客ともに人気が高いことを受け、立ち上げた。「A5和牛を一頭買いし、リーズナブルに提供できる店は少ない。当社には一流の料理人も揃っており、ソース作りのフレンチの技術もある」(桜井暁史同社取締役)という強みから、「俺のステーキ」を同ブランドの中でも重要業態と位置付けた。
一方で、同社は今後、おでん、そば、焼鳥などの業態を「俺の割烹」ブランドに統一する計画で、この2業態を特に強化する方針という。
「月島もんじゃ」にもさらなる進化の兆しが見えている。もんじゃは月島発祥「明太もちもんじゃ」のヒットから創作性が高まり、それに伴って高価格帯のグルメに移行した感があるが、10月に旗艦店「月島もんじゃ こぼれや縁」をオープンした「月島もんじゃ こぼれや」は“もんじゃの美味しさを根本から進化させる”をテーマに、もんじゃのだしを刷新した。もんじゃ店では最近、だしにこだわる店が増えているが、同店がリニューアルしただしは突出している。北海道の美瑛小麦、鹿児島黒豚の豚骨、京都市福島鰹の削り節、そして富士山の源流水を使った「日本の“うまい”だけで作っただし」を謳い、だしだけ飲んでもラーメンスープのようにおいしい。「こだわりの高級だし」を合わせる提案が加わったことで、月島もんじゃは今後ますますのブラッシュアップが期待される。
●店舗情報
○「俺の炭火焼ステーキ 渋谷」
所在地=東京都渋谷区宇田川町12-7 エメラルドビル3階/席数=58席/営業時間=11時30分~15時、17時~23時(日祝は~22時)。不定休/平均客単価=昼3,000円、夜6,000円
○「月島もんじゃ こぼれや縁(ゆかり)」
所在地=東京都中央区月島1-22-1 ミッドタワーグランド113/席数=60席/営業時間=17時~23時、土日祝11時~23時。不定休/平均客単価=昼2,000円、夜4,000円











