クローズアップ現在:海藻=シーベジタブルの人気浮上 個性、利便性で再注目か
海藻を「シーベジタブル」と称すれば、「新しい食材?」と新鮮さを感じるかもしれない。ネーミングでイメージは大きく一新するものだ。だからこそ情報や商品名、メニュー名は大事。最近、海藻がじわじわと販路を広げている。健康的なイメージもあり、国内だけでなく欧米でも人気が高く、2026年はより面白い展開になる可能性がある。
●食べ続けてきた海藻を忘れかけている食卓
日本は海に囲まれた小さな島国なので、陸地域でも流通しやすい距離に海がある。日本人は昔から海藻を食べてきたが、現代において種類を多く言える人、毎日海藻を食べる人は何パーセントいるのかと問われれば、どうだろう。
筆者の教室の生徒や周囲の人に海藻を普段から食べているかどうかを聞くと、食べていると答えた人は3割もいないし、食べていると答えた人でも週に一回程度で少人数だった。また、食べている海藻も味噌汁かサラダに「ワカメ」を少し入れる程度であった。ヒジキなどは、サラダ以外はヒジキご飯、豆と一緒に炒め煮にするほかは「使い方がわからない」という意見がほとんどだ。実は筆者は日頃からほぼ毎日のように海藻を食べている。海藻のネバネバ成分には「フコイダン」という免疫力を維持する栄養素が豊富にあるとされ、インフルエンザなどの予防にもおすすめだ。また、脇役の価値から脱皮できない海藻だが、種類によっては食べ応え、噛み応えもあるし、種類ごとに個性があって食感も楽しいのだ。
●ベンチャー企業からの海藻の販路拡大
海藻に特化した企業「シーベジタブルカンパニー」がメディアでも注目されている。同社の特徴は、海藻に関して一貫してまかなっていることだろう。生産、加工、販売まで行うと共に、研究開発・実証研究・海域調査も自社で行っている。これまで存在しなかった海藻の種苗生産や量産技術を確立し、企業や地域の未来に貢献することを企業目的の一つに掲げている。若い社員が多く、イベント開催などPR方法が上手で「地味」なこれまでの海藻イメージとは異なる戦略のため注目度も高い。
●海外でも海藻は人気
最近は、海藻を主役としてメニューに取り入れ、人気メニューにしている店も増えつつある。東京虎ノ門に店を構える「Pizza 4Ps」では、シーベジタブルカンパニーから卸した海藻をふんだんに使った海藻ピザほか海藻メニュー2品を提供していて、話題になっている。また、2026年春には、シーベジタブルでも海藻がテーマの自社店舗を都内に開業する予定だという。
日本ではまだあまり売られていないが、フランスでは人気のバターの一つ「ボルディエ」バターを筆者は以前から好きなのだが、今後は日本でも市場を広げる可能性がある。先手で着手されることをおすすめしたい。これは、粒状の海藻が練り込まれた海藻バターで、海藻が放つほど良い塩気がアクセントとなっている。
アメリカでは日本食人気と共に、海藻人気が上昇しているという。ケルプヌードルといって、海藻を練り込んだ麺は以前から食物繊維が豊富な食品として売られているが、糖質を低減させる意味でも海藻麺は近年、注目されている。
●和食の概念を超えた利便性に注目
筆者はヒジキ、茎ワカメ、昆布、ワカメ、もずく、あおさ、青のり、海苔くらいは日頃から常備しており必需品としている。そこに珍しい海藻を見つけると買ってしまう。海藻は、それでお腹いっぱいにするメイン食材ではなく、またどんな料理に加えてもほとんど元の料理の味を損なわずに使用ができる。和食の概念を取り払えば、さまざまに利用可能であって、意外に利便性に富んでいるのだ。
海藻をヘルシー食材としてオシャレにおいしく楽しく食べる、ということが海藻でできつつあるのが面白い。刺身のツマとして「食べても食べなくても良い存在」から脱皮しつつある海藻だが、そうした「日本人が気づかない食文化」はほかに多々あるだろう。新たなビジネスは、目線を変えることが発見の第一歩でもある。さらに失われつつある伝統的な食文化や食材、それに伴う職業の存続、そして環境問題や生態系、個人の健康促進など、ビジネスの展開によっては、企業に留まらない波及効果が生まれるのも日本の食文化を生かしたビジネスの特徴の一つでもあると感じる。
(食の総合コンサルタント トータルフード代表取締役 メニュー開発・大学兼任講師 小倉朋子)












