海外通信 外食ビジネスの新発想(97)バーガー博士究極の古き良きバーガーショップ
モッツ氏の著書の一つ、「ハンバーガー・アメリカ」。アメリカ各地のバーガー店を特集している。アメリカの国民食であるだけでなく、アメリカの文化でもあるバーガーは奥が深い。モッツ氏は、25年以上にわたってバーガーの歴史・文化を追究している
●基本に徹したアメリカン・バーガー
アメリカ人は、毎年500億個ものバーガーを食べる。一人につき1週間に3個のバーガーを食べている勘定だ。バーガー専門店は、およそ8万7000店を数え、市場規模は約1736億ドル。バーガーレストラン業界における雇用者数は200万人に近い。その上、ほとんどの外食店がバーガーをメニューにのせている。
中国料理テイストのフュージョンバーガーあり、鹿肉、バッファロー、ダチョウ肉を使ったバーガーあり、植物ベースのヘルシーなバーガーあり、クリエイティブなバーガーは枚挙にいとまがない。超高級なバーガーもある。ラスベガスのホテル内レストランでは、5000ドル(約78万2000円)もするバーガーを提供している。和牛肉、フォアグラ、トリュフを使用したハイエンドのバーガーだ。ところがフュージョン・バーガーの店はいつしか消えていき、しっかり残っているのは、基本に忠実なアメリカン・バーガーの店だ。
さて、グリニッジ・ビレッジの真ん中にオープンした「ハンバーガー・アメリカ」のオーナー兼シェフは、「ハンバーガー博士」こと、ジョージ・モッツ氏だ。約20年前にアメリカ各地のバーガー店をフューチャーしたショートフィルム、「ハンバーガー・アメリカ」でアカデミー賞候補になり、バーガーの歴史を記した書籍を5冊執筆している。トラベル・チャンネルの番組、「バーガーランド」の司会をしたり、大学でバーガー講座を教えたり、とバーガーの造詣が深い。そのモッツ氏が、バーガー専門店をオープンし、オーナーシェフになったのは、当然の帰結といっていいだろう。
店は、何十年も頭の中で描いていたという11席のカウンター。いにしえのアメリカのバーガー店の再現である。また、古き良きアメリカのダイナー風の客席もある。
同店のバーガーは、2種類。クラシック・スマッシュ・バーガーは、バーガー誕生時の伝統的な方法で作るバーガーだ。現在一般的に行われているように機械で平らに成形して冷凍したパティではなく、生のミンチ肉をボール状にしたものを使う。鉄板にのせて塩・コショウし、軽く両面を焼いてから、特製のフライ返しで平らに押しつぶして(スマッシュ)、さらに焼く。肉汁が表面に浮かび上がってきたら、ひっくり返し、焼けた面にチーズをのせ、金属製の丸いカバーをしてチーズを溶かしながら、もう片面を焼く。ほどよく焼けた頃を見計らって、バターを塗ってトーストしたポテトパンのバンズにのせ、みじん切りにした玉ネギとマスタード、ピクルスを加えて、出来上がり。
オニオン・バーガーの方は、薄くスライスした玉ネギをたっぷり使う。丸く固めたミンチ肉を分厚い鉄板にのせてから、塩コショウし、玉ネギを上から覆うようにしてのせ、フライ返しで平らにならす。ほどよい具合に焼けてから、ひっくり返し、上にチーズ、バンズをのせて、もう片面を焼く。こちらのバンズはトーストせず、肉の上で蒸気で蒸す。肉が焼けた頃、鉄板から取り上げ、ひっくり返して、バンズのトップ部分をのせれば、オニオン・バーガーの出来上がり。
毎日90キロの玉ネギを使っているというから、それだけ店は繁盛しているのだろう。各メディアが取材している人気店だ。
(外海君子)
●店舗情報
「ハンバーガー・アメリカ(Hamburger America)」
51 MacDougal Street New York NY 10012












