中華料理特集 コストダウンの知恵:「ポマース油」 耐久力強くランニングコスト削減
原料高騰のあおりで中華料理に欠かせない“油”も大幅に価格アップしている。末端価格は一昨年に比べ倍増したともいわれる。そんな中、「ポマース油」が救世主として脚光を浴び始めている。
ポマース油とは、オリーブの一番絞り油であるバージン油に次ぐ二番絞り油のこと。前者の圧縮絞りの後、熱処理で絞り出すため等級は低く位置付けられるが、食味と香りが弱く、廉価で耐熱性が強く、炒め油や揚げ油に最適とされている。
それらのメリットは次の通りだ。
(1)耐久力=酸化分岐点は約220度C(一般油は約180度C)。耐熱力が強く油が長持ちし、油が酸化(劣化)しないので胃にもたれない。
(2)品質アップ=粘度が強く素材が油を吸収しないのでカラッと揚がる。油を吸収しない分、ヘルシーに仕上がり、冷めてもおいしい。
(3)低コスト=業務用価格相場はオリーブ油(ピュア)の1/2~1/3、一般油の約2倍。耐久力が強く継ぎ足しで使い続けられるので廃油が出ない。結果的に使用量が減りランニングコストが大幅圧縮。
(4)無味無臭=熱処理してあるので食味と香りが立たず、素材の食味と香りを壊さない。
これまで、高コストで香りが強いオリーブ油は中華料理には適さないとされたが、それはバージン油などの一番絞り油に限ってのこと。実用的なポマース油にしても、一部識者から「食味と香りのない低級油」と揶揄(やゆ)されてきたきらいもある。
「食味と香りがないのは揚げ物にとって好都合。コストパフォーマンスと健康志向のメリットを踏まえれば絶対にお得です」と語るのは、ポマース油の輸入元(株)健興通商の傳健興社長。
「製法の違いと調理特性が理解されれば需要は高まるでしょう」という。
一方、「生産量、輸入量とも限られており、安定供給がポイント」(業界筋)という声があることも付け加えておく。
◆商品問い合わせ=(株)健興通商 電話03・3239・3321