中華料理特集 麻婆豆腐トレンド:頂天石焼麻婆豆腐「ミスターチンズダイニング」

2009.11.02 365号 02面
「頂天石焼麻婆豆腐」普通、辛い、激辛から、好みの辛さを選べる。辛さという刺激だけでなく、ふくよかな味わいもある

「頂天石焼麻婆豆腐」普通、辛い、激辛から、好みの辛さを選べる。辛さという刺激だけでなく、ふくよかな味わいもある

陳氏は、上海でレストランのオーナーをしていた祖父の夢を受け継ぎ、日本で開業したという

陳氏は、上海でレストランのオーナーをしていた祖父の夢を受け継ぎ、日本で開業したという

 「中国家庭菜 湧の台所」「路地裏中華 陳家私菜」など、都内に中華料理店を6店舗展開している(有)チンズコーポレーション。「名物鉄鍋ゴマ棒餃子」や「元祖・麻辣刀削麺」など、さまざまな名物料理があるが、中でも「頂天石焼麻婆豆腐」は、その名の通り、頂点を極めた麻婆豆腐としてファンも多い人気メニューだ。

 ◆豆腐まるごとインパクト大 頂点に達したと自負する究極の麻婆豆腐

 中国の特級調理人と一級麺点師の資格を持ち、中国や日本の一流ホテル出身という経歴を持つ、陳〓湧(チンバンユウ)氏の自信作が「頂天石焼麻婆豆腐」だ。

 陳氏は、日本でもさまざまな麻婆豆腐が作られているが、味に奥深さが足りないと感じ、20年にわたって研究を続けてきたのだという。

 麻婆豆腐には不可欠な「しびれるような辛さ」、そして「ピリリとした辛さ」を求め、何度も中国へ足を運び、食材を吟味した結果、朝天唐辛子と四川花山椒を採用。これらは日本では手に入りにくいため、四川省の業者から直接、買い付けているという。メニュー名の「頂天」は、この「朝天唐辛子」と「頂点に達した麻婆豆腐」をかけたものだ。

 主食材である豆腐は、頂天石焼麻婆豆腐専用の特注品。中国では一般的に麻婆豆腐では木綿豆腐を使うが、口当たりがよくない。しかし、絹ごしでは軟らかすぎて、水分が多く出てしまう。そこで業者と相談して、絹ごしと木綿の中間という専用の豆腐を開発した。

 この豆腐を、金華ハムや鶏、豚を使った老湯スープの中で煮込み、しっかりとスープを染み込ませている。

 あんは、包丁でたたいた豚の粗びき肉を使い、甜麺醤、豆板醤などで味を調えている。ちなみに、豆板醤は、本場四川の歴史あるブランド品で、2年以上熟成させた黒い豆瓣醤を使用する。

 そして、料理は温度によっておいしさや香りが全く違うため、この麻婆豆腐は可能な限り熱々の状態で食べてもらいたいと、韓国料理で使う石鍋で提供している。さらに、いつまでも熱々の状態が続くため、石鍋の底では、あんがお焦げの状態になり、香ばしさも加わる。

 ジュージューと音を立てて運ばれてくる石鍋の中には、半丁まるごとの豆腐にあんがかけられている。豆腐を切らずに使う理由は、「煮込む際に型崩れしないためと、見た目のインパクト」と陳氏。さらにお客自らが、豆腐を崩して食べる楽しみもある。こうしたさまざまな工夫の積み重ねが、“頂点”の一品を生み出したようだ。

 ◆「ミスターチンズダイニング」/経営=(有)チンズコーポレーション/店舗所在地=東京都港区赤坂3-12-1 フロレンス赤坂ビルB1/開業=2000年2月/営業時間=午前11時半~午後2時、5時半~11時半(LO10時45分)(祝日は午後8時半まで)/定休日=土日/坪数・席数=20坪・35席/客単価=ランチ800円、ディナー2500円

 ◆愛用食材:朝天唐辛子

 朝天とは、「天に向かう」という意味。太陽に向かって実がなる様子から、「朝天唐辛子」と名付けられた。

 一般的な唐辛子に比べると丸く、ホオズキのような形をしている。

 ミスターチンズダイニングでは中国・広元産のものを、四川省の業者から直接、空輸しており、1ヵ月に約40~60kgを使用している。

 ただ辛いだけではなく、少々の甘みとまろやかな辛みがある。そして香りのよさも特徴的だ。

 陳氏の目指した、深みのある味の麻婆豆腐を作るためには欠かせない食材である。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら

関連ワード: 中華料理店