売れるメニューのヒント:弁当編(2)

2010.02.01 368号 09面

 ○398弁当の伝説となりそうな充実ぶり

 ◆すき焼き弁当

 見山食彩館/北海道苫小牧市

 676g/398円

 内容:すき焼き、白豆、モヤシと油揚げのごまあえ、カボチャの煮物、卵焼き、漬け物、小梅、ごま、白飯。

 見どころ:メーンのすき焼きは、質の良い牛肉がたっぷりと入っているし、焼き豆腐、椎茸、白滝、長ネギといった脇役も充実している。サブのおかずも、煮物、焼き物、あえ物、香の物と多種多彩だ。ご飯もボリューム満点で申し分ない。木製の折り箱に詰め替えたら1,000円でも売れるほど価値が高い。安いだけで中身がチープな298弁当と、これだけリッチな398弁当を比べれば、ほとんどの人は100円高くてもこの弁当を選ぶだろう。安易に298弁当を揃えるのではなく、客単価を100円でも高くして惣菜業界のデフレを打破したいものだ。

 実用性★★★ 生産性★★ 経済性★★ オシャレ★★★★ 容器適性★★★ ユニーク★★★★

 ○装飾にもなるお化けカボチャ寿司

 ◆お寿司DEハロウイン

 イトーヨーカ堂 松戸店/千葉県松戸市

 212g/320円

 内容:スモークサーモン、海苔、とびこ、ガリ、酢飯、醤油。

 見どころ:おにぎり大の酢飯をスモークサーモンで包み、ガリを巻いたバランをてっぺんにのせ、三角形や波形に切った海苔を貼り付けて、ハロウィンの「お化けカボチャ」を再現している。装飾品に見えるほどの見事な出来栄えだ。これだけの超大作をそのまままねるのは大変だが、サケの押し寿司に海苔で顔を貼り付けるくらいなら誰でも簡単にできる。たとえ売れ残ったとしても、ハロウィンの装飾品を買ったと思えば十分に元は取れるのでやってみよう。

 実用性★ 生産性★ 経済性★ オシャレ★★★ 容器適性★★★ ユニーク★★★

 ○少食の人の3食分で驚異の398円

 ◆いろどりサンドセット

 長崎屋 苫小牧店/北海道苫小牧市

 537g/398円

 内容:寿司サンド(ネギトロ、ツナマヨ、明太子、シソ梅、焼きサケ、鶏そぼろ、納豆)、いなり寿司、かっぱ巻き、醤油。

 見どころ:寿司サンド7個、かっぱ巻き3切れ、ミニいなり寿司3個が長大容器にぎっしりと詰まっている。寿司サンド2個はおにぎり1個分に匹敵するので、このセットには3個半のおにぎりと3組の助六寿司が入っていることになる。これは少食の人なら3回分、少食な人ばかりなら3人分に匹敵するボリュームだ。にもかかわらず値段は398円。少食の人なら1日分、少食の人ばかりなら3人分の食費が、なんと398円で済むのだ。ただし3人で分ける時には、半個分のおにぎりをめぐって血みどろの争いにならないよう気を付けてほしい。

 実用性★★ 生産性★★ 経済性★★ オシャレ★★ 容器適性★★ ユニーク★★★

 ○よい意味で北海道らしくない弁当

 ◆のり弁当(白身フライ)

 見山食彩館/北海道苫小牧市

 328g/198円

 内容:白身魚フライ、サツマ芋天ぷら、味付け卵、ウインナー、切り干し大根、たくあん、海苔、鰹節、白飯、醤油。

 見どころ:たくあんを入れるとおかずが6品も付いた立派な海苔弁当だ。にもかかわらず値段は198円と、普通の海苔弁当よりかなり安い。タラは北海道というから白身魚のフライくらいは安くできるかもしれないが、他の食材は全国どこも変わらない。ウインナーや味付け卵を縦半分にカットしたり、サツマ芋の天ぷらを半分に切ったり、たくあんを薄く広く切ったりと、原価を抑えてもみすぼらしくならないように細かく手をかけている。北海道というと大雑把なイメージが強いが、この弁当は良い意味で北海道らしくない弁当だ。

 実用性★★ 生産性★★ 経済性★★ オシャレ★★ 容器適性★★ ユニーク★★★★

 ○個性に合わせて装飾したポピュラーサラダ

 ◆三種サラダ盛り合わせ

 ポスフール 千歳店/北海道千歳市

 323g/398円

 内容:ゴボウサラダ、マカロニサラダ、ポテトサラダ。

 見どころ:「三種サラダ盛り合わせ」に2大人気メニューの「ポテトサラダ」と「マカロニサラダ」は外せない。だがこの2つのサラダは、どちらも白っぽくて色目が似ているし、ハム・コーンなど具も似ているし、マヨネーズを使うので味も似ている。そのため見た目も味も単調なものが多い。だがこの「三種サラダ盛り合わせ」のポテトサラダはレタスを敷いている。しかもマカロニサラダにはピンク色のエビと粉パセリをのせている。さらにゴボウサラダには緑のキュウリと赤いパプリカと黄色いパプリカをのせている。サラダの個性に合わせた装飾で、色も味もある「三種サラダ盛り合わせ」に仕上げた秀作だ。

 実用性★★★ 生産性★★★ 経済性★★★ オシャレ★★★ 容器適性★★ ユニーク★★

 ○主役を奪い合うハンバーグとシチュー

 ◆クリームシチューハンバーグ弁当

 恵庭食彩館/北海道恵庭市

 544g/450円

 内容:ハンバーグ、クリームシチュー、目玉焼き、フライドポテト、スパゲティ、桜漬け、ごま、白飯、醤油。

 見どころ:ハンバーグ島の周りを、クリームシチューの海が囲み、目玉焼きののった船が浮ぶ、といった「北海道らしいのどかなストーリー」を感じさせる弁当だ。ハンバーグをシチューにつけて食べるとシチューはハンバーグのソースになるし、ハンバーグを少なめにクリームシチューを多めにすくって食べるとハンバーグはクリームシチューの具になる。考えようによっては弱肉強食、下克上の世界を繰り返す、「イソップ物語のようにこわいストーリー」の弁当なのかもしれない。いずれにしても、ハンバーグにホワイトソースではなくクリームシチューをかけたことで、ストーリーがにわかに面白くなっている。

 実用性★★★ 生産性★★ 経済性★★ オシャレ★★★ 容器適性★★ ユニーク★★★

 ○プライドみなぎるカレーソース

 ◆ハンバーグ(カレーソース)

 見山食彩館/北海道苫小牧市

 232g/288円

 内容:ハンバーグ、カレーソース、キャベツ、レタス、プチトマト。

 見どころ:大きなハンバーグにカレーソースがたっぷりとかかっている。このカレーソースがすごい。カレーの風味がするハンバーグソースといった生易しいものではなく、白飯にのせればハンバーグカレーとして1皿を完食できるほど濃厚で本格的なカレーソースなのだ。たとえソースといえどもハンバーグには負けないという、カレーの国民食としてのプライドがみなぎっている。同じ苫小牧にはカレーラーメンの元祖として人気の「味の大王」があるだけに、このカレーハンバーグも苫小牧市民に愛される商品になりそうだ。

 実用性★★★ 生産性★★★ 経済性★★★ オシャレ★★ 容器適性★★ ユニーク★★

 (メニュー取材日 2009年11月1日~12月31日)

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