関西版:韓国家庭料理の普及に使命感 厳選された和牛と野菜 「高麗飯店」
「健康によい韓国家庭料理をもっと広めたい。その使命感を持ってやっている」と話すのは、兵庫県尼崎市に本店を構える焼肉・韓国料理「高麗飯店」のオーナー清水麗子氏。韓国生まれ、神戸市育ちの清水さんは、料理好きが高じて尼崎の自宅で66年に「高麗飯店」を開店。以来40年余り、芦屋市、神戸市御影などに支店を持つにいたっている。
じつはこの店、全国焼肉協会から「日本一美味しい焼肉店」の認定を受けるほどの実力店で、清水さんは協会の理事をも務めている。徹底的に素材にこだわり、厳選された和牛肉と野菜を使用。「近くの農家でこの店だけのために作ってくれる野菜もある」というから、まさにほかにはない素材が集まる店といえる。客層は家族連れや会社員を中心に若い人も多い。本店の平均単価は昼1500~2000円、夜4000円程度。御影店、芦屋店は本店より若干単価が上がる。
メニューは韓国の家庭料理が中心。「韓国家庭料理はナムルやキムチなど、野菜を使ったものが多い。木の実も豊富に使う。キムチは乳酸発酵だし、ニンニクやショウガは防腐剤代わりにもなる。本当に健康にいい」と、本物のオモニの味をふんだんに味わえる。
中でもオーナー自慢の逸品はキムチだ。白菜や大根、キュウリといった定番のキムチから、高菜、カブなど、なかなかお目にかかれないものまで、11種類のキムチを提供する。高麗グループ「味工房」でインターネット販売するキムチも加えると、さらに種類が増えるというから驚きだ。キムチ作りは「まずは素材の水切りが大事。ヤンニョムはたれを炊くことで雑菌がなくなり味が安定する。そこにニンニクを入れるタイミングも難しい。季節により素材の硬さも異なり、それぞれに合ったたれを入れ、それぞれに合った作り方をしないといけない」とのこだわり。「キムチは生き物。発酵で味が変わっていく、まるでワインのよう」とまでほれ込んでいる。このキムチをもっと多くの人に食べてもらいたいと、現在、工場で作っている白菜キムチ、大根キムチの2種類を、外食店向けに販売する計画を進めている。
「本物の韓国家庭料理のおいしい店があることを多くの人に知ってほしい。日本人はもちろん、韓国の人には韓国料理のよさを再認識してもらいたい」と話す清水さんは、07年1月に韓国家庭料理サロン「韓国美食倶楽部」を発足。月に4、5回メンバーを集め、本店2階に設けたキッチンで料理指導している。各地から開催してほしいとの声がかかり、現在は全国を飛び回っているという。中にはプロの料理人も参加するというからそのレベルの高さがうかがえる。この4月には「プロのための料理教室」も始動し、次世代の料理人育成にも取り組む。その根底にある想いこそ、「健康にいい韓国家庭料理をもっと広めたい。その使命感を持ってやっている」の言葉というわけだ。