メニュートレンド:ミスマッチにうまい「餃子そば」 「名代箱根そば 蒲田店」

2011.02.07 383号 19面
ギョウザは注文を受けてからカラッと揚げる。ラーメンセットで提供されるギョウザは3個という店も多いことを考えると、ギョウザ4つというのはお得感もあり、腹持ちもよい

ギョウザは注文を受けてからカラッと揚げる。ラーメンセットで提供されるギョウザは3個という店も多いことを考えると、ギョウザ4つというのはお得感もあり、腹持ちもよい

京急蒲田駅すぐそば、駅から伸びる「あすと商店街」の一角にある。同駅周辺は駅改修にともなう再開発中

京急蒲田駅すぐそば、駅から伸びる「あすと商店街」の一角にある。同駅周辺は駅改修にともなう再開発中

 ギョウザと日本そばという、ありそうでなかった組み合わせに挑戦して注目を集めているのが「名代箱根そば 蒲田店」だ。蒲田といえば、「ギョウザの町」としてよく知られる。それぞれ個性的なギョウザを出す店がひしめき、地元客のみならずわざわざギョウザを食べにやってくる人も多いエリアだ。同店は小田急線沿線に展開してきたチェーン店で、蒲田にはなじみがない。だからこそ地域に根付いた営業が必要と店長の沢部末男さんを中心に考案。そのメニュー開発の裏側には「地域密着」という飲食店経営の原理原則が刻まれている。

 名代箱根そばは、新宿と箱根を結ぶ小田急線の駅やホームに出店している電鉄系のチェーン店。小田急線沿線の住民にはなじみ深い同店も、小田急とはなんのゆかりもない蒲田では無名に等しい存在。そのハンディーを克服するためにも、地域に根付いた営業をしていきたいと店長が考案したのが「餃子そば」である。

 「蒲田といえばギョウザの町。ギョウザとラーメンは当たり前だけど、そばにギョウザというミスマッチ感覚が受けるのではと思った」と店長の沢部さんはメニュー開発の経緯を語る。しかし、そのアイデアが実際にお目見えするまでに、思わぬ壁が立ちはだかっていた。これまで同チェーンでは、オリジナルメニューという前例がなかったため、本部との交渉は難航。粘り強く説得を続けること半年。沢部さんの熱意にほだされるように、ようやくオリジナルメニューの許しが出されたのだった。

 1日の出数は平均25食程度。意外にも40~60代の女性客がよく注文するとか。「そばにギョウザという意外性と蒲田店限定という珍しさが好奇心をそそるようです」と沢部さん。ギョウザは関連会社の小田急食品から調達。温かいかけそばの上に、ワカメとネギ、そして揚げギョウザを4つのせている。ギョウザはさっぱりとした風味で、意外なほどそばつゆとの相性がよい。「常時天ぷらを揚げているのでオペレーションもスムーズ。水ギョウザや焼きギョウザも試してみたが、味の面でも揚げギョウザが勝っていた」というように、カラッと揚げることで、サクッとした食感が加わって満足度もアップ。

 中国・韓国系のお客にも好評で、ラー油をかけて食べるなど個性的な食べ方をするお客も増えてきているという。

 ●店舗情報

 「名代箱根そば 蒲田店」 所在地=東京都大田区蒲田4-6-6/開業=2005年9月/営業時間=午前7時~午後11時、無休/坪数・席数=約10坪・18席/1日来店客数=約320人/客単価=約400円

 ●愛用資材・食材

 小田急レストランシステム「箱根そばつゆ」

 箱根そばオリジナルブレンド。店で使う箱入り業務用は10リットル入りで、90食分を作る。1日消費量は約3箱程度。甘みとうまみのバランスがよく、コクがあり、辛過ぎない。この味を好むお客の要望に応えて200ml瓶の店頭販売も行っている。同店では月に12本ほど売れ、毎月5本もまとめ買いする主婦客もいるとか。そばつゆとしてだけでなく、煮物など毎日の料理にもおいしいと好評だ。

 規格=10リットル

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