もやし料理の王道 サンマー麺の要はモヤシ 「中国民菜 萬天」店主・渡部廣美氏

2011.09.05 390号 12面
サンマー麺

サンマー麺

渡部廣美氏

渡部廣美氏

 「サンマー麺」とはモヤシたっぷりのあんかけラーメンのこと。熱々のあんに絡んだモヤシのシャキシャキとした食感が売り物だ。横浜近辺の中華料理店では古くからの定番メニュー。以前は、県外では無名の存在だったが、神奈川県中華料理業生活衛生同業組合所属の有志が立ち上げた「かながわサンマー麺の会」の活動もあり、今では県外からサンマーの食べ歩きを目的に訪れる観光客も多い。今回は、同会発足から数年間、技術指導を担った「中国民菜 萬天」店主の渡部廣美氏に話を聞いた。

 「やっぱり、成田もやし」が結論

 ◆漢字で書くと「生馬麺」

 会によると、サンマー麺は漢字で「生馬麺」と書く。広東語の発音で、「生(サン)」は「新鮮な野菜のシャキシャキとした食感」を、「馬(マー)」は「麺の上に早く具をのせる」ことを意味する。つまり、サンマー麺は「野菜たっぷりで栄養満点。そのうえ素早くできる麺」ということだ。

 ◆まかない食から一大ブームへ

 サンマー麺は、戦前、調理人たちのまかない料理だった、とろみを付けた肉そばが原型になったといわれている。そして、戦後の昭和20年代前半、横浜市の中華料理店で提供され始め、導入する店が急増、一大ブームを巻き起こした。「当時の横浜港は荷揚げ労働者で賑わっており、彼らのお腹を満足させるために、手ごろなモヤシを使ったボリュームアップがはかられました」(渡部氏)

 ◆各店の個性が生きる

 現在、料理の色合いと栄養価を引き出す色の食材、白(モヤシ、白菜、玉ネギ、タケノコなど)、黒(キクラゲ、椎茸など)、赤(ニンジン、豚肉など)、青(ホウレンソウ、小松菜など)が具材の基本になっている。具材の割合や種類、麺の太さ、スープの種類が店により異なるが、「そこが各店の個性であり腕の見せ所。食べ歩きの楽しみでもあります」と渡部氏。

 ◆成田もやしが一番

 しかし、具材の中でモヤシは欠かせず、野菜あんはシャキシャキ感が最も重要だという。「サンマー麺の命ともいえるモヤシですが、いろいろ使ってみて『成田もやし』が一番だと実感しています。とろみをつけると、提供後も野菜への加熱が進むわけですが、最後まで食感が持続し、水っぽくならないのは『成田もやし』だけです。会でも発足当時から会員に推奨しています」(渡部氏)

 ●渡部廣美(わたなべ・ひろみ)プロフィール

 わたなべ・ひろみ 1953年3月生まれ。「中国民菜 萬天」店主。横浜中華街の華勝楼や三鷹の暁雲閣を経て26歳で独立、あざみ野に同店を開業。2005年、現在の場所に移動。「かながわサンマー麺の会」発足から数年間、技術指導を担当。

 ●店舗情報

 「中国民菜 萬天」 所在地=神奈川県横浜市青葉区あざみ野2-12-1 丸善ビル、電話045・904・9399

 ◇サンマー麺の基本の作り方

 ●使用食材

 成田もやし 100g

 豚肉 20g

 ニンジン(千切り) 10g

 ホウレンソウなど青菜(5cm幅) 20g

 タケノコ(細切り) 20g

 玉ネギ(細切り) 20g

 白菜(細切り) 20g

 キクラゲ 10g

 がらスープ 160ml

 醤油 大1/3

 酒 小1

 コショウ 少々

 うま味調味料 少々

 砂糖 小1/2

 ごま油 少々

 水溶き片栗粉 適量

 ●作り方

 (1)豚肉を炒め、色が変わってきたら野菜類を炒める。

 (2)醤油、酒、コショウ、うま味調味料、砂糖で味付けする。

 (3)がらスープを入れ、水溶き片栗粉でとろみを付け、ごま油を入れる。

 (4)丼に醤油系のスープと、ゆでた麺を入れて、(3)をかける。

 ●調理のポイント

 彩りを考慮した野菜を使う。野菜の水分が急に外に出始める味付け直後からは、特に手早く仕上げる。

 ●商品紹介 「ベストモヤシ」 モヤシの歴史を変えたモヤシの王様

 モヤシの歴史を変えたといわれる「ベストモヤシ」は、「モヤシの活用範囲を広げてほしい」という消費者の要望から生まれた緑豆モヤシ。(1)ヒゲ根がないので調理しやすい(2)極太で見栄えが美しい(3)日持ちと歩留まりに優れる(4)クリスピーな食感でおいしいなど、従来のモヤシとは一線を画し、モヤシの新たな市場を切り開いた。

 規格=300g袋、業務用4kg袋、1kg袋

 問い合わせ 成田食品(株)=福島県相馬市成田字大作295

 電話0120・36・7111

 http://www.naritasyokuhin.co.jp/

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