盛り上がる氷点下ビール キリンビール、フローズン状“食べる泡”提案

2012.04.02 397号 12面
専用のサーバーでフローズン状のビールでできた泡を盛り付ける

専用のサーバーでフローズン状のビールでできた泡を盛り付ける

 キリンビールは、氷点下のフローズン状の泡で、定番ビール「一番搾り」の活性化に乗り出す。ソフトクリームのように盛り上げた泡の食感を楽しむ「一番搾り フローズン〈生〉」を3月から首都圏の飲食店で提案していく。5月には展開エリアを全国の業務店に拡大する他、家庭用向けのキャンペーンも実施する。期間限定で全国の主要都市にプロモーション用の店舗をオープンさせるなど、重層的な話題喚起を図っていく。アサヒビールの「スーパードライ エクストラコールド」により広く人気となった氷点下で楽しむビールだが、キリンの新提案を受け、さらなる盛り上がりを見せそうだ。

 一番搾り フローズン〈生〉は独自に開発した凍結撹拌(かくはん)技術(特許取得済み)により生まれるマイナス5度Cの生ビールの泡を、通常の一番搾りの上に盛り付けるもの。ソフトクリームのような見た目のユニークさに加え、凍った泡のシャリシャリとした食感が楽しめる他、グラス内のビールを飲み頃の温度に30分維持できるなど複数のメリットがある。

 業務用の飲食店向けに、生ビールを入れると自動的に撹拌しフローズン状の泡を作る専用サーバーを用意しており、同サーバーを12年内に全国1000の店舗に普及させたい考え。

 飲用時の品質を守るため取り扱う全店で研修を行う他、フローズン〈生〉専用に開発した口が広いパイントグラスやプラカップも提供し、新しい一番搾りとしてブランド化を図る。

 5月17日からは、家庭でもフローズン〈生〉が作れる器具(玩具メーカーのタカラトミーアーツと共同開発)や泡立ちが楽しめるグラスやビールの冷たさを保つジョッキをプレゼントする量販向けキャンペーンを展開していく。

 同社では、これを定番ビールの一番搾りを現代に合わせた提案と位置付ける。新しい付加価値を持ったビールとして若年層に訴求し、話題喚起とともにビール市場全体の活性化にもつなげたい意向だ。

 ビール市場では10年に、アサヒがスーパードライを氷点下で楽しむエクストラコールドを提案し、東京・銀座に行列を作るなど話題になって以来、大手メーカー各社が飲食店を起点とした情報発信を積極化している。世界初ともいわれる“泡を食べられて、おいしく飲める”ビールの登場により、12年もビールへの耳目が集まることが予想される。

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