アポなし!新業態チェック(67)「ウェッツェル・プレッツェル」アリオ亀有店
●プレッツェル戦争勃発か 米国で人気の新興チェーン上陸
去る4月、東京・葛飾区の大型ショッピングセンター「アリオ亀有」に米国のソフト・プレッツェル専門店「ウェッツェル・プレッツェル」がオープンした。米国では先行するプレッツェル店チェーン「アンティ・アンズ」と人気を分けるともいわれる有名チェーン。1994年にカリフォルニアでスタートし、ロサンゼルスを中心に200店舗以上を展開している。海外にもすでに5ヵ国進出し、日本にはフークルがフランチャイズの独占権を得て上陸した。
ここのプレッツェルは、かなりモチモチとした日本人好みの食感が特徴。生地の風味が味わえる「オリジナルプレッツェル」(220円)の他、甘くないテイストの定番ともいえる「サワークリーム&オニオン」(250円)、シナモンシュガーをまぶした「シンフルシナモン」やローストしたアーモンドクランチをトッピングした「アーモンドクランチ」(各250円)などを取り揃える。ドリンク類は「フレッシュレモネード」(S300円、M350円)などの冷たい飲料だけ。ソーセージをプレッツェル生地で巻いたホットドッグはボリューム感ある一品。
店舗のデザインは、ややカラシ色がかった鮮やかな黄色と落ち着いたネイビー(紺色)の組み合わせが基調色になっている。動きのある人物のイラストがあしらわれたグラフィックデザインや、袖看板の形状もユニークで人目を引く。
米国でも、ディズニーランドやドジャーススタジアムといった有名施設へ出店している同店だが、今後5年で100店舗体制を目指すという同社の動向に注目したい。
★けんじの評価
同じ東京都でありながら葛飾区は埼玉県と隣接する東京都の端っこだ。この店には、開業からなかなか訪れる機会がないまま2ヵ月以上が過ぎてしまった。イトーヨーカドー系列のショッピングセンターである「アリオ」は何ヵ所か視察したことがあるが、ここアリオ亀有は初めて。その後に開発されたアリオ橋本などに比べて、フードコートがややコンパクトであるようだ。
臨店するまでフードコート内の店舗だとばかり思っていたが、実際はフードコートに隣接する食品売場コンコース沿いのテークアウト専用店舗だ。アメリカ西海岸風にスタイリッシュでカラフルなデザインの店舗前には、ウエーティング用のレーンが引いてあるにもかかわらず誰も並んでいない。臨店したのは平日火曜日の正午ごろ。フードコートの客席はすでに8割近く埋まっている。
さっそく購入してみたが、何とこの店にはホットコーヒーがない。パン系の食品をコーヒー以外で食べる習慣のない筆者は、しかたなく向かいのドトールでコーヒーだけを別に購入。プレッツェル生地のモチモチとした感じは、アイティ・アンズよりもやや好みかも知れない。また、テークアウト用の包材はオシャレなデザインで、とてもしっかりしたつくりである。
結論から言うと、どうもこの出店は少しばかり解せない。フードコートではなくテークアウト販売重視ならば、やはりもっと都心の話題性の高い立地に出るべきだったのではないか。アンティ・アンズの池袋1号店は、昨年世界中の店舗の中で売上げトップに立った。そうしたセンセーショナルな評判は、やはり業績にも影響するものなのだ。
(外食ジャーナリスト・鷲見けんじ)
●鷲見けんじ
外食チェーン黎明期からFFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウォッチャー。
●店舗情報
「ウェッツェル・プレッツェル」アリオ亀有店
開業=2012年4月5日/所在地=東京都葛飾区亀有3-49-3 アリオ亀有1F