食物販から学ぶメニュー開発のヒント:久世福商店「久世福の和ジャム 安納芋」

2019.12.02 490号 12面

 ●脅威のスピードで出店を続ける「久世福商店」が生み出した「和ジャム」

 ジャムとは、フルーツに含まれるペクチンの作用でゲル化させ、軟らかいゼリー状に加工した保存食品のことを指す。だから本来、ペクチンが含まれていない素材からジャムが作られることはなかったのだ。しかし、食品の加工技術が進んでペクチンが食品添加物として扱えるようになったため、現在ではペクチンの含有率が低いフルーツからも多彩なジャムが作られている。

 そして日本のジャムはさらに進化を続け、フルーツ以外のさまざまな食品をベースにした「ジャム」が製品化されるようになった。国産食品の専門店チェーン「久世福商店」が販売するこの「安納芋ジャム」もその一つ。サツマイモのジャムだ。同ブランドには「和ジャム」というカテゴリーがあり、他にも「紫芋」「渋皮栗」「あんバター」といった「和ジャム」の製品がある。ジャムは「久世福商店」を展開するサンクゼールの創業商品であり、やはり思い入れの深い分野なのだろう。どの製品も完成度が高く、同ブランドの中でも人気アイテムとしてよく知られている。

 もちろん正確にいえば、これはジャムではない。ラベルの原材料を見れば分かる通り、ペクチンは含まれておらず寒天が使われている。海外ではスプレッドと呼ばれるものに分類されるのかもしれない。アメリカでスプレッドの代表といえばピーナツバターだ。そう考えると分かりやすいだろう。

 サンクゼールが「久世福商店」1号店を出店したのは2013年。現在すでに100店舗を超える同社の成長事業だ。創業ブランドの「サンクゼール」を超える急成長の背景には、同社の商品開発力とともに顧客の支持がある。同店の店内には、いま多くの人々が興味や関心を持つ食品の情報があふれているといってもいいだろう。

 (入江直之)

 「久世福の和ジャム 安納芋」 125g・480円、45g・270円(各税抜き)

 「久世福商店」各店 所在地:全国

 編集協力:株式会社イートワークス

 http://www.eatworks.com/

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