アポなし!新業態チェック(179)「譚仔三哥 米線」新宿中央通り店
●トリドール、買収した香港ブランド出店 香港で人気のライスヌードル、満を持して東京の都心に開業
「丸亀製麺」などを展開するトリドールホールディングスは3月末、同社が買収した香港の米線(米粉麺)ブランド「譚仔三哥米線」を日本で初出店した。「米線」はコメと水だけで作られるグルテンフリーのライスヌードルで、中国の雲南地方では古くから親しまれているという。「譚仔三哥米線」は3月時点で香港とシンガポールに85店舗を出店。日本1号店は東京・新宿だが、すでに4月以降、吉祥寺と恵比寿に2号店、3号店もオープンしている。
同店の米線は、味の異なる6種類のスープ(550~670円)とそれぞれの辛さやトッピングを選ぶというスタイルだ。すべてのスープのベースになる「清湯(クリアスープ)」、香港で一番人気という辛味の「麻辣(マーラー)」、トマト風味の「番茄湯(トマト)」、焦がしたスパイスの風味「〓辣(火へんに胡、ウーラー)」、酸味の利いた「酸辣(サンラー)」、同店独自の風味「三哥酸辣(サムゴーサンラー)」という6種のスープがあり、辛くない「清湯」と決まった辛さの「酸辣」以外は10段階で辛さを選べる。トッピングの具材(90~190円)は、野菜ときのこ、肉類、海鮮など25種類。サイドメニューには特製スパイスで味付けした看板メニューの手羽先「トーフェイチキン」(3個380円、5個550円)ほか15種類ほど、ドリンクは香港の紅茶とジュース類、アルコール類がある。
タイル張りの外観やネオンサインなど香港風デザインを採用した店舗が、エキゾチックな雰囲気を演出する。
(価格はすべて税込み)
★けんじの評価 日本上陸2ヵ月ですでに3店舗オープン
店名の「譚仔三哥米線」は「タムジャイ サムゴー ミーシェン」と読む。「譚」は創業者の家名、「仔」は息子、「三哥」とは3番目の兄という意味だという。つまり店名は「譚家の三男の店」なのだろう。香港で1990年代に創業した「譚仔雲南米線」という家族経営の米線店が2000年代になって支店を増やし、経営方針などにより08年に分裂。「譚仔三哥米線」はこの時に新しく生まれたブランドだ。当時10店舗ほどあった店舗を本家の「譚仔雲南米線」と分家である「譚仔三哥米線」が半分ずつに分け、互いに競い合って拡大したという経緯らしい。
18年からこの両社はトリドール社の傘下に入ったが、この時点で双方の店舗数は共に50店舗以上、どちらも100億円超を売り上げると当時の報道にある。両ブランド合わせて香港の米線シェアの7割を占めるという両社は買収された後も順調に拡大し、20年に「譚仔三哥米線」がグループ初の海外店舗をシンガポールに出店。翌年には「譚仔雲南米線」が中国本土に初上陸して、深センにほぼ同時に2店舗をオープンしている。この時グループを合わせた店舗数は約150店舗だ。3年余りの間に50店舗ほどを出店したということになる。
開業して1ヵ月余りが過ぎた新宿店に臨店した。平日の午後でも来店客は途切れない。客席の運営がややぎこちない感じがするのは、「丸亀製麺」がセルフサービス業態だからだろうか。いずれにせよ、今後の動向が気になるブランドといえるだろう。
◆外食ジャーナリスト・鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。
●店舗情報
「譚仔三哥 米線」新宿中央通り店
開業=2022年3月31日
所在地=東京都新宿区新宿3-28-16
編集協力:株式会社イートワークス
http://www.eatworks.com/