アポなし!新業態チェック(188)「飲茶TERRACE 桃菜」鶴川店
●すかいらーく、飲茶の新業態出店 「バーミヤン」で食べ放題実験、大好評で新ブランドを開発
すかいらーくホールディングスは2月、東京・町田に新業態「飲茶TERRACE 桃菜」をオープンした。同店は、同社の「バーミヤン」1号店である鶴川店を業態転換した店舗。昨年、一部の「バーミヤン」店舗で実施した「飲茶食べ放題」の実験販売が予想を大きく上回る人気を呼び、短期間で予定数を終了してしまったことが今回の新業態開発につながったという。
メニューは、「食べ放題コース」と「セットメニュー」、そして「アラカルト」という3種類の注文方法を選べる仕組み。「食べ放題コース」には、「24品90分」(1899円)、「40品120分」(2199円)、「52品120分」(2399円)という3コースがある(土日祝日は各コースとも300円増)。「セットメニュー」は「4品」(1190円)、「5品」(1390円)、「6品」(1590円)の3つで、それぞれ麺または飯のアイテムが1品選べる。料理は点心を中心に前菜、揚げ物、麺、飯、スープ、デザートなどを含めて50種類以上あり、売り物は自家製の「小籠包」。食べ放題はオーダーバイキング方式で、点心などは注文後に専用の機器を使用して短時間で蒸し上げて提供する。
ソフトドリンク類は「銀毫ジャスミン茶」「プーアル茶」「凍頂烏龍茶」「杜仲茶」という4種類の中国茶がメインだ。ほかに、紹興酒やウイスキー、ビール、焼酎など、アルコール飲料も充実している。
同社では、同ブランドを年内にも複数出店する計画であるという。(価格はすべて税抜き)
★けんじの評価:専門店の個性、どこまで伸ばせるか
同店は、寿司業態の「魚屋路」と駐車場を共有する複合店舗だ。臨店したのはオープンから1ヵ月ほど過ぎた平日の午後だったが、常に数組が空席待ちする程度の客入りである。
メニューの点心はどれもそれなりにおいしい。看板メニューの「小籠包」も価格を考えればかなりの逸品だと思う。個人的には「鶏塩つゆそば」がお気に入りだ。しかし、ふと思い出したのは、かつて「バーミヤン」が生まれたころ、「このレベルの中華料理がこの価格で食べられるのか!」と感動すら覚えた記憶だった。だが店舗数の増加とともに、当初の専門店らしさは少しずつ薄れてしまったように思う。決して売れ筋ではないかもしれないが個性的で尖ったメニューが姿を消し、おいしさは標準以上だが他店でも食べられるようなアイテムが増えていく。少なくとも筆者は、そうした過程で次第に利用する機会を失ってしまったようだ。
すかいらーくグループの弱点は、各業態ブランドが年月を経るごとに独自の個性を失っていくことにあるように思える。創業から1ブランドしかない「サイゼリヤ」がブランドのバリューを維持し続けた理由の一つは、多くのメニューがマイナーチェンジによりブラッシュアップされ続けてきたことにあるのではないか(近年は、それもやや怪しいが)。
大規模チェーンの難しさは、ブランドの個性と多店舗化できる普遍性のバランスにあるのだろう。だが、同ブランドが「飲茶」というカテゴリーの中で、その個性をさらに深化させていくことに期待したい。
●店舗情報
「飲茶TERRACE 桃菜」鶴川店
開業=2023年2月1日/所在地=東京都町田市大蔵町188
●編集協力:株式会社イートワークス
http://www.eatworks.com/