2024年9月度、外食動向調査 フードコンサルティング
●34ヵ月連続で前年比増収
日本フードサービス協会が発表した外食産業市場動向調査によると、2024年9月度売上げは、前年同月比108.2%となり34ヵ月連続の増加を記録した。
今年9月は3連休が2回あり、前年比で日曜日が1日多かったことも客足にプラスに働き、客数は前年同月比4.0%増、客単価も4.0%増となった。
個別に見ると、前年比を下回った業態は前月同様に5業態となったが、NATTY(93.7%)、串カツ田中(94.6%)、マルシェ(95.0%)以外は、いずれも前年比99%台と軽微な減少幅にとどまった。業態別では「和食」「居酒屋」業態以外は、全業態で前年比プラスとなり好調であった。
●トランプ再選の影響は?
ご存じの通り、11月5日実施のアメリカ大統領選挙で、トランプ氏率いる共和党が民主党に大差をつけて勝利し、同時に行われたアメリカ議会の上院、下院選挙でも共和党が多数派となったことから、トランプ次期大統領は、いわゆる「トリプルレッド」と呼ばれる圧倒的に有利な権力を持つこととなった。
これは、前回の任期中とは全く異なる状況が出現した訳であり、トランプ次期大統領が考える政策の多くが現実に実行されていくことを意味している。今回は、アメリカ大統領選挙が日本と外食業界に及ぼす影響を、プラス面とマイナス面から考察してみたい。
(1)円安進行
トランプ氏当選と共和党の勝利を受け、為替相場ではさっそく円安の流れが進んでいる。トランプ氏は、前回のころから「ドル安(=円高)は悪だ」と繰り返し発言しており、今回も任期中を通じてドル高状態が維持継続するであろう。
▽プラス面=インバウンド客の増加。日本の食材、食品の輸出拡大
▽マイナス面=輸入品(食材、燃料)の価格上昇。外国人労働者の減少
(2)株式市場の活性化
こちらも為替同様、選挙結果がトランプ氏と共和党優勢と見るやアメリカ株式市場では株価上昇が続き、その影響で東京株式市場でも株価上昇の流れとなっている。
▽プラス面=キャピタルゲイン所得の拡大が消費を喚起。富裕層の増加
▽マイナス面=株価上昇が行き過ぎた場合、株価の急落や暴落リスクが拡大する
(3)資源エネルギー産業の回復と原発再稼働
トランプ氏は、就任後にアメリカを世界最大の資源輸出国にすると公言しており、バイデン政権下で抑制されていたシェールオイル/ガスを中心とした資源エネルギー産業の復活と大規模な輸出に加え、AIビジネス拡大による電力消費量の飛躍的増加に対処する必要もあり、原子力発電の拡大を進める方針を示している。
おそらくわが国においても、原子力発電所の再稼働と、開発中の小型原子炉の導入が進むものと考えられる。
▽プラス面=電気、ガス料金の値下げ
▽マイナス面=為替が1ドル180円を超えるような大幅な円安となる場合は料金値上げも
このほか、防衛費負担の増加による増税実施の可能性や、各国の紛争沈静化によるロジスティクスの安定化により輸入品の値下がりが期待できるなど、わが国にとっては当面の間、プラス面とマイナス面が錯綜する状況が続くとみられている。