食べ物の単位と漢字11 ct カラット 【PR】
コーヒー豆とイナゴマメ
私は、1日に平均2杯のコーヒーを飲む。昼食後と夕食後だ。
自宅でコーヒーを淹れるときは、手動のミルを使って自分で豆を挽いている。早くコーヒーを飲みたいと考えながらガリガリと豆を挽いている時間は、なんというか、大事にしたいなと思う。これくらいの時間の余裕は、失いたくない。
1杯のコーヒーに必要な豆は、10gが標準だと聞いたことがある。では、その 10gのコーヒー豆は、何粒あるのか?
自宅のコーヒー豆を数えてみた。79粒だった。ということは、1粒の質量は、約0.127g。まあ、誤差もあるだろうから、0.12~0.13gといったところか。
しかし、これが分かったところで、何の役に立つのか?
いやいや、コーヒー豆一粒の重さは重要でなくても、この考え方が重要なのだ。豆粒一つの重さがわかれば、今度は豆粒の個数で物の重さを表すことができる。つまり、単位にすることができるのだ。こうして生まれたのが、カラット[ct][car]だ。
「カラット」については、一度は聞いたことがあると思う。ダイヤモンドなどの宝石の質量を表すときによく使われる質量の単位だ。
「カラット」は、地中海地方原産の「イナゴマメ」のことだといわれている。この豆の大きさが揃っていたので、分銅として重宝されたのだろう。大きさが揃っていたといっても、国や地域ごとにばらつきがあったろうから、1907年のメートル条約の総会で、1カラットは 200mg(=0.2g)に統一された。ということは、イナゴ豆の1粒は、コーヒー豆1粒よりも重いということだな。
さて、ダイヤモンドには「4C」と呼ばれている指標がある。
carat(質量)、cut(研磨)、color(色)、clarity(透明度)
このうち、質量くらいなら自分でも量れそうだ。ダイヤモンドの質量を量って、カラットで表すだけだ。
ただし、カラットを使って宝石の取引をするためには、定められた基準を満たしている計量器で測定する必要があるとのこと。高価な宝石の質量を表すだけに、気軽に使える単位ではないのだ。
その前に、よく考えたら、私はダイヤモンドなんて一つも持ってなかった。私は、やはり、イナゴマメよりもコーヒー豆がいいな。
星田 直彦(ほしだ・ただひこ)
1962年、大阪府生まれ。奈良教育大学大学院修了。中学校の数学教師を経て、現在、桐蔭横浜大学 准教授。実生活や歴史の話題を多く取り入れた数学の講義は好評である。幅広い雑学知識を生かして、「身近な疑問研究家」としても活躍。
おもな著書に、『単位171の新知識』(講談社ブルーバックス)、『図解 よくわかる単位の事典』(KADOKAWA)、『楽しくわかる数学の基礎』( SBクリエイティブ サイエンス・アイ新書)など多数。
ホームページ:「星田直彦の雑学のすゝめ」
ブログ:「雑学のソムリエ」
大きさによって差はあるものの、ごま1粒の重さは0.003g程度、カラットに直せば約0.015カラットだ。ダイヤモンドでいえば、0.015カラットはかなり小粒で、ジュエリーの主役となる宝石の周囲に散りばめられたり、シンプルなジュエリーのワンポイントとして輝きを添える用途に使われることが多い。ごまも、料理の主役になることこそ少ないが、重要な脇役として、おいしさを健康効果を毎日の食事に加えてくれる。
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