メニュートレンド:型破りのおいしさ肉の天ぷら! 「天ぷら革命 ふじ好 神保町店 世界1号店」
天ぷらの食材といえばエビを筆頭とする魚介と野菜。その常識をくつがえした「肉の天ぷら」を打ち出して注目を集めているのが、東京・神保町の「天ぷら革命 ふじ好」だ。その仰天な発想の転換は、天ぷらファンの賛否両論を巻き起こしているが、食べてみると肉の揚げ物の1バリエーションというだけでは片付けられない本格の「天ぷら」として楽しめる肉料理に仕上がっている。未体験のおいしさの裏側には、試行錯誤のうえでたどりついた丁寧な仕込みがあった。
◆極厚肉でも、軟らか ジューシーに感動
「にく好」の内容は、牛フィレ、豚の角煮、鳥ささみ天、バクダンミンチ、粗びきソーセージの肉5品に野菜またはキノコ2品。これにご飯と味噌汁、香の物がついて1000円。牛フィレも豚の角煮も3cm以上はある極厚で揚げられるぜいたくさで、しかも口に入れるとその軟らかさ、ジューシーさに驚かされる。衣はさっくりとした軽い歯応えで、肉との相性も抜群だ。これほど大きな肉を芯まで熱を入れながら、衣の食感を残して揚げるために「すべての部位を試して、何度も試行錯誤を繰り返した」と、(株)TFJ代表取締役社長の藤本孝博さん。
「牛フィレは揚げる前に日本酒でフランベして火を通し、いわゆるタタキにしてから揚げています。これによってレアでジューシーな味わいに仕上がるのです。反対に豚の角煮は3時間じっくり煮込んでから揚げる。肉の脂と天ぷらの油ではクドすぎるので、脂だけを落とすことで軟らかくかつさっぱりと食べられるのです」と藤本さんは食感づくりの秘密を明かす。天ぷら油は高温の油と低温の油を使って「二度揚げ」することで、衣のさっくり感を保ちながら食材にはしっかり熱を入れることを可能にした。
肉の天ぷらというアイデアの裏には藤本さんの大いなる野望が隠されている。「世界展開できる日本料理として天ぷらに着目したが、従来の魚介と野菜だけではさまざまな困難がある。肉の天ぷらならコスト面でも消費者の嗜好という面でも世界で勝負できると考えたのです」と藤本さん。6月には早くも新宿御苑に2号店を出店し、近隣ビジネスマン客の話題を集めているという。今後も「誰かに言いたくなる、誰もやったことがない、おいしくて楽しいメニューを開発していきたい」と藤本さんは意気込む。
●店舗情報
「天ぷら革命 ふじ好 神保町店 世界1号店」 経営=(株)TFJ/所在地=東京都千代田区神田神保町3-1-13、電話03・6272・6874/開業=2010年12月/営業時間=午前11時~午後10時、無休/坪数・席数=約13坪・15席/客単価=1100円
●愛用資材・食材
「マルテン醤油こいくち・本醸造」 日本丸天醤油(兵庫県たつの市揖保川町)
前例のない肉の天ぷらを提供する「天ぷら革命 ふじ好」だが、天つゆはスタンダードなカツオだしベースのもの。その天つゆの原材料として使われているのが、日本丸天醤油(株)の「マルテン醤油こいくち・本醸造」だ。カツオだしの風味を引き立てる味わいで、肉の天ぷらとの相性がよい天つゆに仕上がる。同社の歴史は1795年創業と古く、ヒガシマル醤油と並ぶ西日本の二大醤油メーカーのひとつとして高い認知をほこっている。
規格=1.8リットル(常温)