ヘルシートーク:料理家・長田知恵(つき)さん
◇また食べたいとリクエストされる 家族の気に入る料理が「一生ものレシピ」
ブログ「つきの家族食堂」が人気となり、料理家の道に進んだ長田知恵(つき)さん。「繰り返し作りたくなる一生もののレシピ」をコンセプトにした、簡単・時短・栄養満点レシピが話題です。つきさん流献立作りのポイントや時短になる調理のワザ、旬の野菜を使ったオススメレシピも伺いました。
●献立には必ず1品子どもが好きな食材を使用
献立をつくる時に心がけているのは、主菜、副菜、汁物が似たような味にならないことです。主菜が和食だからと和の味に合わせるのではなく、味にメリハリをつけるようにしています。野菜をすべての料理に入れようとすると大変なので、どれか1品にたくさん入っていればいいかなと思っています。栄養バランスも1週間の中である程度取れていればいいと考えるとラクなんですよね。
必ず決めているのは、子どもが好きな食材を使ったレシピを1品取り入れること。子どもはテンションが上がる料理がないと、なかなか食卓の椅子に座ってくれないですから。3人の子どもたちは年齢も離れていて好みも違いますが、上2人は気にせず食べてくれるようになったので、いまは末の子に合わせています。昨晩、末の子の好きなあさりのみそ汁をつくったら、真っ先に食卓に来てくれました(笑)。
料理をつくるうえでは、場所も大事だと思っています。いまのキッチンは、素敵な家具屋さんで見つけた吊り棚や引き出しなど、好きなものを少しずつ集め、3年ほどかけて仕上げました。ラップ類やボウルなど頻繁に使うものは、すぐ取れる引き出しに収納しています。重ねず並べて入れることで、探しやすく取り出しやすいんですよね。お気に入りのものに囲まれていると、料理をつくるモチベーションにつながると思います。
料理の中でも好きなのは、ひたすら野菜をみじん切りにしたり、炒めること。野菜を炒めていると、どんどん形状が変わっていくので、それを見ているのが好きなんです(笑)。
●キャベツ、なす、長芋…時短にもなる調理のワザ
野菜は切らないといけない分、意外と手間がかかってしまうので、時短になるように工夫しています。例えば、キャベツの塩もみは、しんなりするまでに10分はかかりますよね。でも、せん切りにしたキャベツをザルに入れて熱湯を回しかけ、冷水にさらして水気をきれば、あっという間にしんなりします。色も鮮やかになり、食感も少し残るのでコールスローなどに最適です。
なすは、焼く前に油をからめておくと、少量の油で済み、火の通りも早いんです。3本のなすは4分ほどで、とろとろに焼きあがります。油の量が少ないので、処理もラクですよ。
長芋はポリ袋に入れて作業するのがおすすめです。皮をむいた長芋をポリ袋に入れて麺棒である程度叩き、袋の上からフォークでざっくり切ります。均一の大きさになり、手のかゆみもおさえられるんですよね。オクラやまぐろとあえる時は、長芋をすらなくても、この方法で十分です。
ポテトサラダをつくる時、じゃがいもとにんじんを同時にレンチンした後、にんじんまでつぶしてしまったことはありませんか?それを避けるには、耐熱ボウルに切ったじゃがいもを入れ、その上に濡らしたペーパーで包んだ細切りのにんじんをのせて、ラップを被せてから電子レンジへ。加熱後、ペーパーごと取り出せば、にんじんがつぶれることなく調理できます。
どんな野菜も繊維の方向が決まっているので、切り方によって食感が違ってきます。大根サラダをつくる時、繊維に沿って細切りにすればパリパリした食感に、繊維を断ち切るように細切りにすると、やわらかくなるんです。「違うサラダ?」と思うほどおいしさも変わってきます。
●秋の定番は、アレンジしやすい根菜のきんぴら
いまの季節、我が家の定番メニューは、れんこんやごぼう、にんじんなど根菜をふんだんに入れたきんぴらです。炒めた豚こま肉を加えればボリューム感が出て主菜に、材料を少し加えれば炊き込みごはんにもアレンジできます。必ずつくるのは、きんぴらを細かく刻んだチャーハン。いろいろ使い回せるので、いつもたくさんつくってストックしています。
きのこを使ったレシピの中でもおすすめなのは、新刊でも紹介している「きのこソースのチキンソテー」。しめじとしいたけを焼き色がつくまでじっくり炒めることで、きのこのうま味が凝縮された香り高いホワイトソースに。ソースの材料は炒めずに全部混ぜてから一気に加えるので、簡単につくれると思います。
輪切りにしたれんこんの穴に肉ダネを詰めて焼き、照り焼きダレで味わうのが「はがれない☆れんこん鶏つくね」。れんこんに片栗粉をまぶすことで、焼いた時に肉ダネがはがれないんです。ただ、欲張ってれんこんを分厚く切ってしまうとはがれてしまうので、薄めにスライスを。
さつまいもは、家族みんんなが大好きなので、芋掘りにも行くことも。さつまいもの炊き込みごはんや大学いも、必ずリクエストされるのでスイートポテトもよくつくりますね。
私にとっての「一生ものレシピ」は、家族が「また食べたい、つくって!」とリクエストしてくれる料理です。新刊にはそんなレシピを集めました。一度レシピ通りにつくっていただいてから、各家庭に合う味にアレンジしてもらえればと思います。それを家族が気に入ってくれたら、ご家庭の「一生ものレシピ」になるはずです。
◆プロフィル
ながた・ちえ 夫・3人の子ども・愛犬1匹と暮らす。「繰り返し作りたくなる一生もののレシピ」をコンセプトに簡単・時短・栄養満点レシピを発信。Instagramのフォロワー数は32万人(2024年4月現在)。2023年にNadia Artistとなり、Best of Nadia 2023の新人賞を受賞、フーディストアワード2023グランプリ受賞。日本テレビ系『ヒルナンデス!』などに出演し「時短クイーン」としても話題に。著書に『つきの家族食堂 作り置き弁当』(宝島社)他。
◇NEW Book 本の中身ちょっと拝見
『つきの家族食堂 我が家の一生ものレシピ200』 長田知恵著/宝島社
定価:1518円(税込)