海外通信 外食ビジネスの新発想(90)華やかさとおいしさ両立の惣菜店

2025.07.07 557号 13面
「オー・デリ」第1号店。黄色と水色のロゴが明るく爽やかな印象

「オー・デリ」第1号店。黄色と水色のロゴが明るく爽やかな印象

店内に入ってすぐに目に入る主力商品の並ぶ冷蔵棚

店内に入ってすぐに目に入る主力商品の並ぶ冷蔵棚

朝食チョイスも豊富に揃う

朝食チョイスも豊富に揃う

ランチに人気の「Bento Box」11.99$。サラダ2種類とプロテイン1種類がセレクトされている

ランチに人気の「Bento Box」11.99$。サラダ2種類とプロテイン1種類がセレクトされている

「アボカド・チェダー・サンドイッチ#1」(手前)と「ベジタリアン・サンドイッチ」(奥)ともに13.99$

「アボカド・チェダー・サンドイッチ#1」(手前)と「ベジタリアン・サンドイッチ」(奥)ともに13.99$

筆者のお気に入り、「オルゾパスタのサラダ」(小)4.99$

筆者のお気に入り、「オルゾパスタのサラダ」(小)4.99$

自家製の焼き菓子以外にもセレクトされたクラッカーやクッキーも揃う

自家製の焼き菓子以外にもセレクトされたクラッカーやクッキーも揃う

アメリカでは珍しいショートケーキもホールでオーダー可

アメリカでは珍しいショートケーキもホールでオーダー可

 ●忙しいモダンファミリーの強い味方

 コネチカット州グリニッジはマンハッタンのグランドセントラル駅まで1時間、全米で最も裕福な住宅エリアの一つ。学校も多くマンハッタンまで通勤可能なので、子育て共働き世帯に人気の住宅地だ。そんな閑静な住宅街で住民に愛されるデリ「オー・デリ」。共働きをしながら新鮮な手作りの料理で子どもたちを育てる家庭を応援したいという思いから、オーナー夫妻がグリニッジに第1号店をオープンしてから今年でちょうど30年。以後、コネチカット州内の隣接する町に4店舗をオープンしている。

 明るい黄色にペイントされた入口をくぐると、色とりどりのサラダとサンドイッチ、スープが冷蔵棚に並び、反対側には「ジンジャーレモネード」「ジャパニーズ・アイスコーヒー」などトレンドをおさえたドリンクバーがある。正面には量り売りでオーダーする惣菜コーナーとホールで販売しているケーキや焼き菓子、パンのコーナーへと続く。レジの横には、オートミールパフェやフルーツサラダの並ぶ朝食およびデザート専用の冷蔵棚。朝は7時から営業し、コーヒーとクロワッサンをテイクアウトしたり、ランチ用にサンドイッチを買っていく通勤客が途絶えない。

 マヨネーズやソースまで手作りにこだわり、20種類以上あるサンドイッチ(6$~)、家庭料理の定番「チキン・ポット・パイ」(15.99$)、特別感のある「ステーキのサラダ」(19$/1LB)など豊富に揃う。急な来客におしゃれで気軽なランチを用意したいときに駆け込むことが多い筆者の定番は「オルゾパスタのサラダ」(14$/1LB、写真(6))だ。ドレッシングに使用した香り高いジンジャーオイルとドライアプリコットの甘味、ピスタチオの食感の組み合わせがやみつきになる。ビーチに出かける日のランチに決まって持っていくのは「アボカド・チェダー・サンドイッチ#1」(13.99$、写真(5))。ボリュームたっぷりのアルファルファにスパイシーマヨネーズが絡まり、ヘルシーでありながら満足感たっぷりだ。

 近隣の公立は小学生から高校生までカフェテリアランチもあるが、お弁当持参の生徒が約半数を占める。小学生の子どもの誕生日にファストフード店のキッズミールを用意する保護者も少なくない一方で、特別な日にオー・デリのテイクアウトをお弁当に持ってくるのがクールな中高生の定番。放課後に「パッションフルーツ・アイスティー」($4.22)を片手におしゃべりする女子高生の姿は、よく見る光景である。スーパーで販売されるアイスティーやアイスコーヒーは甘いものが多い中、ここのドリンクはすべてホームメイドで甘味は足されていない。

 華やかで斬新なメニューは家庭でも作ってみたくなる。ホームページをのぞくと、親切に前菜からデザートアイテム、そしてカクテルまでレシピが公開してある。オーナーの願い通り忙しい現代の家族の食卓に寄り添い、華を添えてくれる、地元の惣菜店以上、ケータリング未満の店だ。

 (井澤歩)

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