第44回食品ヒット大賞決まる　優秀ヒット賞23品、ロングセラー賞5品

表彰総合 2025.12.22 13048号 01面

“安心して選べる価値”を備えた商品が数多く推薦された

第44回食品ヒット大賞選考委員会

　日本食糧新聞社制定、令和7年度「第44回食品ヒット大賞」および「第39回新技術・食品開発賞」の受賞商品が決まった。食品ヒット大賞は該当なしとなり、優秀ヒット賞23品、ロングセラー賞5品が選ばれた。贈呈式・祝賀会は来年2月24日、ホテルニューオータニ東京で開催される。亀井昭宏選考委員長は「物価高の長期化や主食であるコメの価格上昇、高齢化の進展など消費生活を取り巻く環境が大きく変化する中、今年は“安心して選べる価値”を備えた商品が数多く推薦されました。時短・簡便でありながら、健康への配慮や食の楽しさを提供し、ブランドへの信頼感を生かして生活者の支持を獲得した点が高く評価され、厳しい市場環境の中で、各社が培ってきた商品設計力と提案力があらためて示された結果だと受け止めています」とコメントした。（安田陽子）

　●物価高・高齢化時代に選ばれた　「安心・簡便・健康」

　物価高が常態化する中、今年の受賞商品群からは、消費者の生活防衛意識が一層強まる一方で、価格だけでなく「失敗しにくい選択肢」が重視されている実態が浮かび上がった。特に主食であるコメの価格上昇は家計への影響が大きく、食費全体の見直しが進む中で、時短・簡便で無駄の出にくい商品や少量でも満足感を得られる商品設計への需要が高まっている。一般加工食品分野では、調理工程を極力省きながら、主食・主菜として成立する商品が支持を集めた。フライパン一つや電子レンジ調理といった簡便性は、共働き世帯や出社回帰による時間制約に加え、高齢世帯にとっても扱いやすい点が評価された。また、濃厚な味付けや食べ応えを意識した商品は、米価上昇下においても食事全体の満足度を高める役割を果たしている。

　消費行動の面では価格に慎重になる一方で、ブランドへの信頼感が購買を後押しする傾向が鮮明となった。既存ブランドからの展開商品は品質や味への期待値が明確で、新商品であっても「安心して試せる」存在として選ばれやすい。健康意識の高まりも重要なキーワードだ。高齢化の進展によって塩分や脂質への配慮、栄養バランス、体調管理といった視点が日常食品にも求められている。無理なく継続できる健康配慮設計や、日常の食事に自然に取り入れられる商品提案が、幅広い世代から支持を集めた。今年の受賞商品群からは、消費者が求める「ブランドの安心感」「時短・簡便」「健康・機能性」「楽しさ」を的確にとらえた商品設計の重要性があらためて示された。高齢化や食環境の変化が進む中、実用性と情緒価値を両立させる提案力が、今後の食品市場を左右する要素となりそうだ。

　令和7年度「第44回食品ヒット大賞」選考委員会は11月20日、ホテルニューオータニ東京で開催。全国の有力小売、卸など87社のモニター企業に推薦を依頼し、64社（回答率73.6％）から回答を得た。ノミネート商品について慎重かつ厳正な選考を行い、受賞商品を決定した。

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　〈選考委員〉▽委員長＝亀井昭宏（早稲田大学名誉教授）▽委員＝岡本均（伊藤忠食品代表取締役社長　社長執行役員）、京谷裕（三菱食品代表取締役社長）、國分勘兵衛（国分グループ本社代表取締役会長兼CEO）、佐々木淳一（日本アクセス取締役会長）、倉本隆（日本酒類販売代表取締役社長）、柴田幸介（三井物産流通グループ代表取締役社長）、今野正義（日本食糧新聞社名誉会長）

　◆食品ヒット大賞

　該当なし

　◆優秀ヒット賞（部門別、五十音順）

　〈一般加工食品部門〉

　・「濃いカレー　中辛」　エスビー食品

　・「プチッと中華」　エバラ食品工業

　・「キリン　午後の紅茶　FRUITS ＆ ICE TEA」シリーズ　キリンビバレッジ

　・「マルちゃん焼そば」　東洋水産

　・「カップヌードル　魚豚」　日清食品

　・「マ・マー　レンジで2分　もちもち生パスタ」シリーズ　日清製粉ウェルナ

　・「ネスカフェアイスブレンド」　ネスレ日本

　・「ホワイトカレー」「ブラックカレー」「レッドカレー」　ハウス食品