シーフード調理学(21)イワシ<1>漁獲の最盛期は9~11月

2002.11.04 262号 10面

わが国においてイワシは古い時代から魚として最も親しまれ、日本の漁業の歴史を振り返ってみましても、これほど大量に捕れたものはありません。

また水産業という産業からみましても、大きな比重を占めてきたことは間違いのない事実ですし、世界レベルでみましてもかなりポピュラーな魚種といってよいでしょう。

古代遺跡の貝塚からイワシの骨がかなり発見されておりますし、わが国が世界に誇る女流文学者・紫式部が、平安の当時「いやしい魚」として上流社会の人々があまり食べなかったイワシを、主人に隠れてこっそりと食べ、その行為をたしなめられた時、

日の本に はやらせ給ふ 石清水 まひらぬ人は あらじとぞ思ふ

と言い訳をした話などは、つとに有名です。

戦前には最高で一六〇万tも捕れたイワシも、昭和40年代には激減し、最近、再び上向いているようです。

動物学的に説明しますとイワシは、硬骨魚綱ニシン目のニシン科およびカタクチイワシ科、ウルメイワシ科に属する種類のうち、漁獲量の多いマイワシ、カタクチイワシ、ウルメイワシを指すといってよいでしょう。ただ別科の魚をイワシと呼ぶこともあり(トウゴロウイワシ、カライワシなど)、学問上は問題が多いようです。

古くから「鰯」の字が当てられてきたように、形だけが似ているだけでなく、全体的に「弱々しそうな魚」としてつけられたものと理解した方がよいかもしれません。

イワシは最近でこそいまひとつ人気がありませんが、日本人の家庭料理ということから考えますと、最もよく使われる魚種のひとつといってよいでしょう。

一年中出回りますが、9~11月が最盛期です。他の魚と同様にタンパク質に富み、脂質は多い方。稚魚は骨ごと食べられるので、カルシウム強化食品として最適です。

料理ですが、マイワシはフレッシュなものなら刺身や塩焼きがよいが、そのほかとしてはイワシ飯、煮付け、トマト煮、かば焼き、立田揚げ、南蛮漬けなどがあります。料理幅が広く、和・洋・中華風とどんな料理にも使えます。

また調理加工品としては、うの花漬け、ぬか漬け、めざし、缶詰(油漬け、大和煮、水煮、トマト煮など)としても珍重され、秋田名物の塩汁(しょっつる)の材料ともなります。

(『ニューデリカ通信』編集長 染矢清亜)

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