話題のシェフ:ル・シュヴァール.フラットリア総料理長・山岸一茂さん

2003.11.03 277号 22面

自由な発想とスタイルで各国の料理のさまざまな要素をあわせたメニューが人気を呼んだ「フュージョン料理」だが、最近はそのブームも落ち着きを見せている。その原因は店の過密化と、過剰なアレンジを売りにした料理がユーザーにあきられたことにある。「ヘルシーな食が求められる今こそ、本物のフュージョン料理が果たす役割は大きい」と語る山岸シェフに話を聞いた。

‐‐フュージョン料理の変遷と現況についてお聞かせください。

山岸 日本のフュージョン料理ブームは五年ほど前がピークでした。現在は一時のようにどこの店でもフュージョン料理を売りにするということはなくなり、残るべくして残った本物の店だけがフュージョン料理を出しているという状況ですね。

フュージョン料理は九〇年代の初めにニューヨークで始まったもの。フランスに料理の修業に行ったアメリカ人シェフが帰国後、自分たちの感覚でアレンジしたフレンチを作りだしたのがその始まりでした。そうした料理はそれまでの量さえあれば、大味でも良いというアメリカの料理に一石を投じることになり、ニューヨークを中心に大きなブームとなっていきました。

その後、ニューヨークでこうした料理がはやっているのを知った日本人が日本でもフュージョン料理の名のもとに各国の料理を合わせた料理を始めました。これらのひとつの流れが創作和食です。

‐‐現在のフュージョン料理のトレンドについてお聞かせください。

山岸 今、フュージョン料理が残っている店は、和洋中を問わずベースの専門料理をしっかり出せる店だけです。

フュージョンというのは「融合」という意味なのですが、ただやみくもに料理を混ぜればよいというものではない。もともとアメリカのフュージョン料理はフレンチをしっかり勉強した人たちが始めたものですから、おいしい料理であることが基本でした。

ところが日本では、何でも混ぜればよいという感覚で味をおざなりにしてまで、奇をてらった料理を出す店もありました。そうした店は一時だけ話題になっても、すぐに飽きられ淘汰されてしまった。逆に基本になる料理をしっかりと持っている店のおいしいフュージョン料理は今でも健在ですし、良いお客さんがついていると思います。

‐‐フュージョン料理に対するニーズの変化についてお聞かせください。

山岸 今、外食に求められているのはヘルシーであることです。フュージョン料理も例外ではありません。話題性や目新しさではなく、安全な食材を使ったヘルシーでおいしい料理であることが一番のニーズです。

‐‐フュージョン料理の展望についてお聞かせください。

山岸 安全でヘルシー、そしておいしい料理が求められる今、本物のフュージョン料理が果たす役割は大きいと思います。

フュージョン料理は、専門料理を学んだ人が自分流のアレンジで独創的な料理を作り出すもの。日本には世界各国のいろんな料理があり、使う食材も容易に手に入れることができる。自由な発想で、豊富な食材を使えば料理のおいしさも広がります。

各国の料理には、それぞれ良いところもあるし、ヘルシーであるとは言い切れない部分もある。そうした部分を、使う食材を替えたり、バターを使うべきところを醤油で代替する、天然だしを使うなど、工夫して改良すれば、どんな料理でもヘルシーな料理に仕立てることができます。

フュージョン料理は、これからの時代のニーズにこたえる料理だといえるでしょう。

‐‐ありがとうございました。

◆プロフィル

やまぎし・かずしげ=昭和37年東京都港区出身。わが国のフュージョン料理の先駆者として活躍。コート・ドール、ホテルフェニックス、ビストロビスなどで修業。八六年ビストロ・ダルブルの総料理長に史上最年少(二四歳)で就任。在職中に渡仏、パリ、ボーヌにて修業。帰国後、ザ・ガーデン、東京ジョンブル、銀座クルーズ、エンゼルフードシステムの総料理長を歴任。現在、ル・シュヴァール.フラットリア総料理長のほか、北陸学園・北陸調理製菓専門学校の特別講師も務め、フュージョン料理を通しての「食育」にも力をいれている。フュージョン料理集『海上晩餐会』(飛鳥出版)ほか、執筆多数。

◆シェフのおすすめ食材 「天然ペプチド旨味調味料ペプマルチ」

「天然ペプチド旨味調味料ペプマルチ」は、カツオ、イワシ、昆布、無臭ニンニクを低分子の状態にして、ジャガ芋でんぷんを使って微紛にした天然ペプチドの調味料です。

製造過程で化学合成物質を一切使わず、塩分や糖分、化学調味料を添加していないのでとても安心です。そのうえ身体への吸収がタンパク質より早いので栄養補給にも即効性があります。クセのない味なので、和洋中を問わず使えるのも魅力です。

ヘルシーでかつ、どんな料理にもあう本格的な万能調味料ですから、今、フュージョン料理に求められているニーズにこたえるのにもぴったりな調味料です。必要なとき必要なだけだしやスープが作れて、だしがらなどのゴミが出ることもない。コストメリットと利便性にも優れた商品です。

◆発売元=アスパック(株)(東京都渋谷区渋谷一‐一〇‐七‐六〇四、電話03・5466・8939)

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