電化厨房最前線(23)フォレスト・イン昭和館

2003.11.03 277号 9面

東京・昭島の「フォレスト・イン昭和館」は、武蔵野の面影を残す昭和の森のなかにある都市型リゾートホテル。1600平方メートルの広さを誇る多摩地区最大級のバンケットホールはじめ大小10の宴会場と、中華や和食のレストランを完備。結婚式からファミリーの会食まで広く利用されている。その衛生管理と大量調理に貢献しているのが電化だ。

「フォレスト・イン昭和館」の衛生管理はHACCPの概念に基づいて厳格に行われている。消毒用のエアシャワーを浴びて入る厨房内は隅々まで整理整頓と清掃が行き届き、ドライで清潔だ。気温は快適で、空気に清涼感が感じられる。

「HACCPの理想を実践するために電化の導入は必要不可欠でした」と語るのは総料理長の平木章三さん。

「電化は余熱の発生がなく、まわりの空気をあたためない。忙しいときでも厨房内の温度を二〇度Cから二五度Cのあいだで保てるので非常に快適です。それにガスに比べて掃除が簡単なので厨房がいつも清潔です」

システムを集中管理できるというメリットもある。

「シェフルームではコンピューターが主要冷凍・冷蔵庫二五台の温度を二四時間監視し、異常時には警報が鳴るようになっています。温度変化の追跡調査もできるのでとても安心です」

平木総料理長は電化を高く評価する一方、「システムを生かすのは人である」を信念にスタッフの教育にも力を入れている。

「スタッフには、厨房内に入る際の靴の履き替え、まな板の使い分けや、木ベラ、菜箸などの木製器具の排除などを徹底してもらっています。また、異物混入を避けるために納入業者の方にも協力していただき厨房内へのダンボール箱の持込みをなくしました」

当ホテルの理想的な衛生環境は、電化のメリットとスタッフの意識の高さによって実現しているといえる。

「電化のもうひとつのメリットは、真空調理を併用することで計画的な仕込みができることです」

結婚式が集中する繁忙期でも、シェフが事前にオペレーションを決め、料理の提供時間に合わせた細かいスケジュールを作成することができる。

「一二〇〇人規模のパーティーと結婚式が重なっても、滞ることなく料理を提供できますね」

電化は大量の料理を安全に提供する必要のあるホテルには、うってつけのシステムであるといえるようだ。

◆現場からの声 平木章三総料理長

電化には料理方法をマニュアル化できる利点もあります。料理人も責任者になると、メニュー開発やスタッフ教育だけでなく、コンピューターを使った店の係数管理など管理職としての仕事も要求され、いつも厨房にいるというわけにはいかなくなる。

その点、電化は調理方法をある程度、数値で示すことができ、料理をマニュアル化したうえで安心して若手にまかすことができますね。忙しい料理人に時間的な余裕を与えてくれるのも電化のよいところだと思います。

◆店舗メモ

フォレスト・イン昭和館(レストラン「セントロ」、中華料理「花林」、日本料理「車屋」、ラウンジ「ダコタ」)/所在地=東京都昭島市昭和の森、電話042・542・1234/使用機種=IHヒーター、スチームコンベクション、サラマンダー、スチームケトル、湯銭、ブラストチラー、ほか多数

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