山本純子のスゴイぜ!業務用冷凍食品(68)井上「冷凍みかん」
●夏の給食で変わらぬ人気 「ゴルフ場に…」「ぜひ!」
み~かん~の花が咲いている♪ 誰でも歌える(であろう)、みかんの色と青い海が目の前に広がるこの歌、「みかんの花咲く丘」は、神奈川県小田原市国府津(こうづ)から伊豆まで続くみかん畑の風景を歌っています。
その国府津で明治時代に創業した(株)井上は、100年を超えるみかん問屋であり、農園を営む企業として全国に知られ、今も日本柑橘商業団体連合会会長企業です。そして、冷凍みかんを世に出した本家本元。
同社発祥はもう一つあります。ネットに入れたみかんの販売です。漁網の利用から始めたもので、中身がひと目でわかるオレンジ色のネットに入れると、運びやすく、みかんがよりおいしそうに見えるのです。
さて、同社が冷凍みかんを発売したのは1955(昭和30)年。既に冬場は、東海道線の主要駅の売店へみかんを販売していたのですが、これを何とか夏にも販売できないものかと思案して、冷凍したのです。
発売は小田原駅。冷房車両はもちろんゼロの時代、夏に窓は開けっぱなしで、そこに冷凍みかんの売り子が現われると、乗客に大人気。大ヒット商品として、東海道沿線に広がりました。
冷凍みかんは、ただ凍らせたみかんではありません。凍結前に皮を乾燥させることで、皮が破れるのを防ぎ、夏場に出荷するときには水にくぐらせて、厚さ1mm程度の氷の膜を付けています。これによってつややかな見た目になり、品質も守るわけです。
その後、飲料自販機が普及して、車両の冷房も整備されてくると、冷凍みかんを目にする機会も減ってしまいましたが、唯一、学校給食では夏のデザートとして健在です。ビタミンC摂取の食材として、また、日本の一つの食文化として受け継いでいこう、という気持ちも込められているのです。
「みかんは今や高級品。貴重な作物を大事にする意味から、むき冷凍みかんにも今シーズンはチャレンジしました」と井上直也社長。販路開拓でも「ゴルフ場はどうかな」とおっしゃるので、「それはぜひ!」とお願いしました。昭和レトロのおやつとして、老健施設利用者の方々にも受けそうです。
●ここがスゴイ!!=食文化として受け継ぐ気合い!
●商品概要
井上「冷凍みかん」
規格=規格=1個、2個包装/他各種