この一品が客を呼ぶ弁当編・仙台:「米工房 いわい本店」おにぎり弁当

2004.12.06 294号 8面

仙台の南の副都心・長町にある老舗米穀店「米工房いわい」が、おにぎりを売出したのは一〇年前。評判が口コミで広がり、今では一日約七〇〇個を売上げる盛況ぶりだ。ふっくら程良く握られたおにぎりと手作り惣菜を合わせた「おにぎり弁当」も人気で、あっという間に売り切れごめん。今年1月、広瀬通りに開館したガス局ショールームに、二店目をオープンし、さらに話題を呼んでいる。

規制緩和の波にさらされ、米穀店の転廃業が目立った九〇年代。

「量販店でも自由にコメが扱えるようになり、これまでのようにコメだけを売る商売ではいけないと思い、おにぎり屋を始めるに至りました」と代表取締役の岩井宏太さん。

何せコメに関してはプロ中のプロ。宣伝らしい宣伝は開店時のチラシだけにもかかわらず、“コメ屋のおいしいおにぎり”は瞬く間に評判となり、今や一日平均本店で七〇〇個、広瀬通り店で八〇〇個を売上げる名店に。

コメはひとめぼれ(宮城・古川産)、ささにしき(宮城・古川産)、まなむすめ(宮城・登米産)、こしひかり(新潟産)、あきたこまち(秋田産)の五つの銘柄を日替わりで使用。やや大ぶりながら、どの銘柄でも一〇五~一六八円と安価なのもコメ屋ならでは。

具材へのこだわりも強く「サケは一本丸ごと仕入れて店でフレークに。梅は梅を専門に作る岩手の農園から仕入れています」。

一〇五円と一二六円の好きなおにぎり二個と惣菜を合わせた「おにぎり弁当」は、魚か肉が選べて五二五円。例えば魚コースなら、サケと唐揚げ、コロッケ、卵、お浸し、漬け物におかず三品が付く。毎日店頭に並ぶのは三〇個程度だが、さらに一日何十個もの注文を受けるという。

「うちの弁当はコンビニ物のように、長く保存はきかないけれど、おいしいものを作るためにはいろんなものを混ぜずに、昔ながらの家庭的な味を提供するのがモットーです」

◆米工房 いわい本店(仙台市太白区長町三‐三‐五、電話022・247・3181)営業時間=午前8時30分~午後7時、第三日曜定休

◆食材の決め手 「天日塩」木曽路物産(株)(岐阜県恵那市)

おにぎりも惣菜も調理がシンプルなだけに、安心安全でおいしい食材や調味料に、徹底的にこだわっている。

その一つが塩。愛用しているのは内モンゴル産の天日塩。岩塩の地層に湧いた塩湖を太陽と風の力で結晶させた、ミネラル豊富な天然塩だ。以前は国産を使っていたが、表記問題が取り沙汰された際、「本物の塩を使いたい」とこれに変更。天然素材ならではのまろやかな甘みが特徴。

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