売れるメニューのヒント:弁当編 東京(1)
◆国産肉牛どん弁当(350g/477円)
●日山(東京都台東区花川戸1-4-1 松屋浅草店内)
国産牛肉、玉ネギ、白滝が入った牛丼。
この「国産肉牛どん弁当」は国産牛肉を使っているにもかかわらずワンコイン以内と「安い」、作り置き弁当だから提供時間は当然「早い」、白滝で食感をアップした味付けは時間がたっても「うまい」、と三拍子そろっている。この元祖牛丼チェーン顔負けの国産牛丼は肉の小売店が製造販売。これまで肉屋の惣菜と言えばコロッケやメンチカツが相場だったが、今後は肉屋の牛丼がどんどん誕生するかもしれない。
◆黒毛和牛牛めし(422g/999円)
●柿安ダイニング(東京都千代田区丸の内1-9-1 大丸東京店内)
黒毛和牛、玉ネギ、糸コンニャクの牛飯、煮物(椎茸、インゲン、ニンジン、サツマ芋)、シシトウ、桜漬けの入った牛飯弁当。
アメリカ産牛肉の輸入中止以来、ほとんどの牛丼チェーンはオーストラリア産牛肉を使った牛丼にシフトしたが、国産牛肉を使った牛丼を出すチェーンは見当たらない。今後はこの「黒毛和牛牛めし」のようなワンランク上の牛丼を販売するチェーンが誕生し、牛丼マーケットの一大勢力となるだろう。
◆まぐろ寿司(326g/1,260円)
●勘貫屋(東京都台東区花川戸1-4-1 松屋浅草店内)
ホンマグロのにぎり4カン、トロの裏巻き4カン、ヒラメのエンガワ1カンが入ったセット。
クロマグロを使った「高級マグロづくし」の片隅に1カンだけヒラメのエンガワが入っている。理由は(1)裏巻きが紅白なので、にぎりも合わせた(2)同じ白色でもイカは高級マグロとつりあわないので、という。視覚的にも味覚的にも飽きさせない工夫が肝心だ。
◆やきとり弁当(556g/525円)
●鳥(東京都中央区銀座3-6-1 松屋銀座本店内)
焼き鳥(正肉、ねぎま、つくね)、チキンカツ、コロッケ、ポテトカツ、モヤシのナムル、桜漬け、ミニパックソースが入った弁当。
「やきとり弁当」は「ミックスフライ弁当?」と勘違いするくらい、焼き鳥だけでなく揚げ物も充実した内容。だが単純に焼き鳥ゾーンと揚げ物ゾーンとに分けてしまっては「焼き鳥vs.フライ弁当」になってしまうため、つくねを揚げ物ゾーンに入れて一体化を図っている。
◆豚キムチ丼(384g/599円)
●柿安ダイニング(東京都千代田区丸の内1-9-1 大丸東京店内)
豚肉、キムチ、ニンジン、ナス、ニンニクの芽、シシトウ、モヤシ、ミニトマトが入った丼。
豚肉とキムチは味的には全く違うもの同士だが、うまみと辛みが補完し合うので相性が良い。だが色的にはお互い似たもの同士なので、ほとんど見分けがつかないほど同化してしまって相性が悪い。この丼はそうしたメリットは残しつつデメリットをカバーするために、ナス、ニンニクの芽、ミニトマトといった野菜を加え、豚キムチを味的にも色的にもバージョンアップしている。「スーパー豚キムチ丼」と呼びたい逸品だ。
◆ひれ・コロどん(390g/380円)
●RF1(東京都中央区銀座4-6-16 三越銀座店内)
ヒレカツ3切れ、コロッケ3切れ、キャベツ、白髪ネギが入った丼。
ヒレカツ丼はおいしいが高い、コロッケ丼は安いが物足りない。どちらを選ぶか? 人生はそんな究極の選択の繰り返しだ。ところがこの「ひれ・コロどん」は苦渋の決断をしなくても両者の良いとこ取りができる夢の丼だ。この丼の応用で、ステーキかハンバーグかで悩む人のための「ステ・ハンどん」や、マグロの赤身かトロかで悩む人のための「あか・トロどん」もほしい。
◆中華弁当(456g/567円)
●香港菜館(東京都千代田区丸の内1-9-1 大丸東京店内)
ラフテー2切れ、ギョウザ2個、シュウマイ2個、春巻き、キュウリの漬け物、白ごまがかかったご飯。ギョウザのたれ、ラー油、醤油が入った弁当。
ギョウザ2個とシュウマイ2個を同じスペースに詰め込んでいるにもかかわらず、ギョウザたれと醤油とラー油のパックは別々に付いている。当然のことだが、ギョウザたれはギョウザに、醤油はシュウマイに、ラー油はお好みに、という配慮である。
◆チャーハンセット(440g/609円)
●桂林(東京都中央区銀座4-6-16 三越銀座店内)
「チャーハン」と「あんかけ焼きそば」のセット。
「あんかけ焼きそば」の上に後から乗せたピンクのエビと白いイカは、弁当全体を美しく輝かせている。この色・形・艶ともに抜群の後乗せの具はどこに乗せても美しいので、「チャーハン」の上に乗せて豪華な「シーフードチャーハン」にすることもできる。脱着簡単、色彩見事、美味満載の後乗せの具をこの弁当のようにうまく使いこなせれば、どんな料理も魅力が倍増する。ぜひ必殺技に加えてほしい。
(調査執筆・平成17年7月1日~10月10日)