関西版:割り箸廃止宣言 マルシェが760店舗から追放
八剣伝、酔虎伝、居心伝などの居酒屋を全国で約760店舗展開しているマルシェ(株)(大阪市東成区、電話06・6943・6600)は、05年6月から「プラスチック箸」の導入を進めてきたが、FCを含む全店でこの2月に完了した。なお昨年7月には「割り箸廃止宣言」を行っている。環境保護につながる企業姿勢が注目を集めている。
プラスチック箸の使用で、年間1500万膳消費していた割り箸の削減となり、値上がり傾向にある割り箸代のコスト吸収にもつながっている。
同社が使用していた割り箸が1膳1円であったのに対し、プラスチック箸は同135円。来店客を1日平均2回転半とし、使用後の洗浄、煮沸、アルコール消毒から計算するとプラスチック箸の寿命は約2年。コスト換算では1年でペイできるので、2年目には1500万円のコスト削減にもなる。ちなみに「洗浄、煮沸、アルコール消毒、専用箸袋に入れる工程は作業の合間にできるので、プラスの人件費にはならない。お客さんにプラスチック箸の使用をお褒めいただくこともある」と八剣伝・なんば南口店の荒木店長。
「テーブルの上に箸たてが並んでいた昔の外食店とは違い衛生面に配慮しているが、それでも『使いまわしは衛生的ではない』と躊躇する来店客もいる」(同)
そこで登場したのが個性やこだわりが求められる時代背景にあう「MY箸」の使用。昨年10月から「自分のお気に入り箸を持参し食べることは、食への感謝と食育にもつながる」とし、「MY箸」持参の推奨を始めた。特に関東圏での当たりがよく、若い女性客の間でも評判を呼んでいる。
直営店250店舗で実施している「MY箸ポイント制度」は、箸を持参した客が1回につき1ポイントをもらえるというもの。10ポイントたまれば飲食代から500円引きになり、同時にマルシェがNPO法人ネットワーク「地球村」に50円を寄付するシステムになっている。さらにこの春からは「愛のMY箸1億人運動」とし、乳幼児を除く日本人で箸が使えるすべての人にMY箸習慣を呼びかけている。
先月末からは店舗で315円の「携帯用マイ箸」を販売している。今後は日本の箸の名産地である福井県小浜市のこだわり箸や、和歌山みなべ町の梅の木を剪定した枝でできた箸などバラエティー豊かな品揃えを計画。
先ごろ、日本の割り箸輸入先である中国が、森林保護を理由に生産を制限したのに伴い、割り箸が価格アップ傾向にあることや、08年に中国から割り箸の輸入制限がかかる状況も見込まれていることから、同業者からのマルシェ本部への問い合わせも多いという。外食店での「割り箸廃止運動」や「MY箸運動」は今後ちょっとしたブームになるかもしれない。