ピカイチキッチン(76)厨房の換気について考える
●展示会での説明
前回は香港で開催されたFOFEX2007の内容を説明したが、今回はそこで注目された厨房の換気システムについて考えてみたい。
ところで、梅雨を迎えるこの時期に厨房で働くことが憂うつになる諸氏も多いのではなかろうか。特に日本の厨房の環境はまだまだ劣悪なケースも多く、最悪な場合健康被害に及ぶ事例もある。こうした状況を改善するためのポイントが換気空調システムの適正化ではないだろうか。
先進国の中で厨房の天井高さが低い日本では特に換気や空調の適正化が重要となる。国内の規制である「大量調理施設衛生管理マニアル」の基準では、夏季室内温度25度C以下、湿度80%以下となるように指導している。
一方、ドイツでは、厨房の区域によってそれぞれ異なる基準が決められている。例えば、コールドキッチンは、17~20度C以下、食器洗浄室は18度C以下、となっているが、いずれにしても26度Cを超えないようにすることが求められている。また、湿度は、室内温度との関係で決められている。室温が低ければ、湿度の許容範囲はやや高く設定されている。室温20度Cで湿度は80%以下、室温26度Cの場合、湿度は55%以下となる。
なお、VDI2052の資料ではこのほかに空気の流れ「気流速」や給気方法、グリースフィルターの性能など極めて細かく基準が決められている。展示会では、こうした厨房の換気システムについて、ハルトン社が詳細を発表していた。
●作業環境維持のシステム化
このように厨房の作業環境を維持するためには、基準を策定しただけでは当然片手落ちとなる。基準を順守する仕組みが必要である。重要なことは法的指導基準が明確であること、厨房で働く作業者の衛生管理に対する意識が高いこと、基準を守るための教育訓練がされていること、企業の支援が得られていること、そしてこれらの管理が適切にできるなどの能力がなければ作業環境の向上は至難ではないだろうか。つまり、厨房の環境はいくつもの課題が相互に関連しているため、衛生管理のシステム化が不可欠と言える。
例えば、国内では、法的基準を考える場合、数値の根拠が明確でないうえ、あらゆる業態のフードサービスに対し一律の基準では解決できないなどの問題がある。厨房設備に対する設計者(建築設計)や一部の工事関係者の無知による「他人任せの構図」なども大きく影響している。さらに、過剰な散水による作業環境の悪化などがある。
これでは、ハード面ですばらしい施設を構築しても、使用者側の意識が変わらない限り作業環境の改善は不可能だろう。
((有)本山フードビジネス研究所代表・本山忠広)













