船場吉兆、改善策まとめる 経営も責任を認める コンプライアンスの構築へ
(株)船場吉兆は昨年末、農水省指示に基づき近畿農政局に改善報告書を提出した。報告書では「取締役による個別、具体的な偽装指示の有無」までは明確にしていないが、黙認、看過していたとの経営陣の責任は認めた。今後は法令順守(コンプライアンス)を徹底し、従業員による告発を容易にするなどの不正防止体制の構築を急ぐ。近畿農政局は報告書を分析して、必要ならば再度、報告書を求める。
農水省の改善の指示に基づいて、船場吉兆は弁護士や従業員をまじえた14人の調査委員会を設置し、事実把握のために11月9日から商品の表示を点検していた。その結果、船場本店で37品のうち適正な表示だったのは7品しかなく、但馬牛などへの偽装を含め、優良誤認を招くものは4品、添加物を含めた原材料名の欠落は19品、原材料で重量順に表記していなかったものが24品だった。
本店の期限表示では、大部分の商品で科学的な根拠なしに期限を決め、その期限で表示するよう取締役が従業者に指示していた。博多店では日常的に賞味期限の表示を変えていた。
船場吉兆は、(1)表示に関する認識の欠如(2)品質表示内容の確認や管理体制に不備があったことを認めた。今後は、品質表示に関する責任の所在の明確化、社内における品質表示のチェック体制の強化などを進める。