売れるメニューのヒント:弁当編(1)

2008.11.03 349号 10面

 ○盆と正月が一緒にきたようなWエビ

 ◆エビチリたま丼

 太新樓/東京都新宿区

 475g/578円

 内容:エビチリ、エビ卵炒め、白飯。

 見所:「エビチリ」「エビ玉」という2種類の中華料理がのっている。どちらもエビを使った料理だが、1品より2品のほうが色彩的に美しいし、2つの味が楽しめて魅力的だ。特にエビ好きの人にとっては、盆と正月が一緒に来たようなぜいたく丼。決して見逃すことはないだろう。またそのまま「エビチリ・エビたま丼」という舌をかみそうな商品名にはせず、「エビチリたま丼」というかわいく歯切れのよいネーミングにしたところは、エビ好きならずとも見逃せない。

 実用性★★★ 生産性★★ 経済性★★ オシャレ★★ 容器適性★★ ユニーク★★

 ○ステーキ皿容器が購買意欲を刺激

 ◆山形育ちのハンバーグ御膳

 eashion/東京都千代田区 462g/1,050円

 内容:ハンバーグ、皮付きポテト、インゲンごまあえ、白飯。

 見所:このハンバーグは、山形県産牛と山形県産黒豚だけで作っているので、「山形育ち」という商品名になっている。肉のうまみをじっくりと味わえるよう、余計な付け合わせはほとんど入っていない。「○○御膳」というと少量のおかずが多品目入った懐石料理のようなものを想像するが、元来「御膳」とは食事やご飯の丁寧語。この弁当こそ「ハンバーグ御膳」というネーミングにふさわしい風格だ。なにより高級ステーキ店で使っている鉄皿にそっくりな容器が購買意欲を高めている。

 実用性★★ 生産性★★ 経済性★★ オシャレ★★ 容器適性★★★★★ ユニーク★★

 ○2種類の味が楽しめるツートンカレー

 ◆カレー

 ラ・カルトキッチン/東京都中央区

 434g/750円

 内容:チキンカレールー、ラッキョウ、キュウリ、プチトマト、古代米、白飯。

 見所:キュウリとトマトが「目」、カレーの入った部分が「口」、ラッキョウが「耳」、なんとなくアニメの「パーマン」に似ているが、それがおもしろくて取り上げたわけではない。このカレーの見所はパーマンでいえば仮面の部分が、「白飯と古代米飯のツートンカラー」になっていることだ。カレーに古代米飯という組み合わせはめずらしいが、意外に相性は良い。カレーには歯応えのあるコメが合うからだ。2通りの味が楽しめて栄養成分も豊富、結構人気が出そうな「ツートンカレー」である。サフランライスとのパーマン2号も仲間に加えてほしいものだ。

 実用性★★★ 生産性★★ 経済性★★ オシャレ★★★ 容器適性★★ ユニーク★★

 ○とっても偉大なトリプルチーズ

 ◆トリプルチーズのオムレツカレー

 eashion/東京都千代田区

 489g/680円

 内容:チーズ入りコロッケ、チーズ入りオムレツ、カレーライス、ゴボウとヒジキとニンジンのあえ物、レタス。

 見所:コロッケとオムレツの中にチーズが入っている。これだと「ダブルチーズ」のようだが、実はオムレツの卵生地にも粉チーズが練り込んであるので「トリプルチーズ」なのである。野球でいえばダブルプレーは1試合に1度ぐらいあっても、トリプルプレーだと1シーズンに1度あるかないかだ。麻雀でも倍満はたまに出ても、三倍満はほとんど出ない。フィギュアスケートの回転でもダブルとトリプルでは大きなポイント差がある。カレーのトリプルチーズだって、シングルやダブルチーズとは、風味やコクが一味も二味も違うのだ。

 実用性★★ 生産性★★ 経済性★★ オシャレ★★ 容器適性★★ ユニーク★★★

 ○ジャパネットたかた的なお得感

 ◆マーボ丼

 四陸/東京都立川市

 545g/500円

 内容:麻婆豆腐、鶏唐揚げ、シュウマイ、白飯。

 見所:売り手にすれば、おいしい麻婆豆腐丼を作って、お手軽価格で提供すれば、それで売れると思うもの。だが買い手にすれば、それだけでは少し物足りない。「食べたい」と「買いたい」とは異なり、何か決定的な「お得感」がなければ、簡単には買えないものなのだ。この「マーボ丼」は本格的な麻婆豆腐丼が500円というお手軽価格だ。だがおまけに唐揚げとシュウマイまでのっている。ジャパネットたかた的にいうと、「本格派の麻婆豆腐丼に唐揚げが付いて、何と500円! しかもシュウマイまで付けちゃいました~」というお得感があるのだ。

 実用性★★★ 生産性★★ 経済性★★ オシャレ★★ 容器適性★★ ユニーク★★

 ○隠れた卵焼きに興味津々

 マーボー豆腐丼(玉子焼入り)

 龍鳳/東京都新宿区

 449g/378円

 内容:麻婆豆腐、卵焼き、白飯。

 見所:普通の麻婆丼は白飯の上に麻婆豆腐がのっているだけだが、この「マーボー豆腐丼」は白飯と麻婆豆腐の間に厚さ1cm弱の卵焼きが挟まっている。混ぜ合わせて食べると、卵焼きで辛さが緩和されるのでマイルドな味になる。器用な人なら麻婆豆腐と卵焼きを完全に分離することもできるので、マーボ丼と卵焼き丼の2種類の味を楽しむこともできる。「玉子焼入り」と書いてあるのに全く卵焼きが見えないところも、お客の興味をひく仕掛けになっているようだ。

 実用性★★ 生産性★★ 経済性★★ オシャレ★★ 容器適性★★ ユニーク★★★

 ○たまには健康よりもぜいたくで品目を楽しもう

 30品目ごちそうプレート

 柿安ダイニング/東京都台東区

 455g/1,155円

 内容:タコマリネ、ポテトサラダ、エビレンコン揚げ、エビマヨ、黒酢鶏唐揚げ、春雨、ヒジキサラダ、ローストビーフ、サーモン、大根、ニンジン、ナス、ブロッコリー、パプリカ、グリーンカール、コーン、卵そぼろ、クコの実、白ごま、ピンクペッパー、パセリ、青ジソドレッシング。

 見所:普通、これだけたくさんの食材を使っていろいろな料理を作ると、1つや2つはまずい料理が混ざるものだが、このプレートに入っている料理はどれもおいしい。単なる「30品目のおかず」ではなく「30品目のごちそう」と豪語するだけのことはある内容だ。「ごちそう」とは「おいしい食べ物」という意味だけに、おいしい食べ物しか入れられない緊張感がパーフェクトなプレートを生んだのであろう。健康志向の高まりで「○品目のサラダ」が幅を利かせているが、たまには健康よりもぜいたくで○品目を楽しみたいものだ。

 実用性★★ 生産性★ 経済性★ オシャレ★★★★ 容器適性★★ ユニーク★★

 (メニュー取材日2008年5月1日~2008年7月20日)

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