メニュートレンド:暑さ忘れる「風流冷やし鍋」 「熱い心のつるつるうどん 三佳屋」

2010.08.02 375号 23面
思わず歓声が沸き起こる美しさも「風流冷やし鍋」の魅力。いろいろ研究していくうちにどんどん下処理の手間が増え、「こんなことならもっと価格設定を高めにしておけばよかった」と笑う前山さん。写真は4人前

思わず歓声が沸き起こる美しさも「風流冷やし鍋」の魅力。いろいろ研究していくうちにどんどん下処理の手間が増え、「こんなことならもっと価格設定を高めにしておけばよかった」と笑う前山さん。写真は4人前

なんばグランド花月に程近い立地。インパクトのある似顔絵が目印

なんばグランド花月に程近い立地。インパクトのある似顔絵が目印

 「鍋料理=温まる=冬」という常識を打ち破る新メニューが大阪・難波に登場。おいしいうどんで知られる三佳屋が生み出した、夏季限定の「風流冷やし鍋」である。単に冷たいだけでなく、見えない部分にさまざまな工夫を施した逸品。暑い夏に冷たい鍋を囲んでみんなで涼む……。そんな光景が当たり前になる日が近いかも!?

 ◆夏だって鍋で盛り上がりたい! 暑さを忘れる「ひ~んやり鍋」

 金属製の専用鍋にうどんと色とりどりの具材を盛り付け、冷たいだしを注いだ「風流冷やし鍋」。鍋縁に並べられた氷が鍋肌をキンキンに冷やし、テーブルに運ばれてからもだしや具材の冷たさが増していく。

 この夏バージョンの鍋料理を考案したのは、三佳屋の店主・前山博信さん。夏場の宴会を盛り上げる目玉料理を模索していく中で、「仲間と1つの鍋を囲む楽しさを冬場に限定しておく手はない」と思いついたそうだ。

 風流冷やし鍋の具材は、エビ、ハモ、もち入りきんちゃく、豚肉の白菜巻き、ミョウガ、オクラ、トマトなど(時期によって変化あり)。そしてそのひとつひとつに、実に丁寧な下処理が施されている。たとえば豚肉の白菜巻きは、ショウガを効かせたうどんだしをたっぷり吸わせた、ゆで黒豚肉を白菜で巻き、さらに同じだしに漬け込んで味を含ませるという手の込みよう。またもち入りきんちゃくは、きつねうどん用に味付けした油揚げに揚げたてのもちを包んだもので、甘く冷たい油揚げと熱々の揚げもちの取り合わせが斬新だ。このほか、寿司のネタ風に甘酢っぱく味付けされたエビ、同じく甘酢で口当たりを優しくしたミョウガなど、心憎い工夫が盛りだくさん。さらに鍋に張られているのは、カツオのうまみを生かした三佳屋自慢のうどんだし。鍋をつついている間にもじわじわと味が染み込んでいく仕掛けだ。

 「下処理なしでも見た目には同じものを作れますが、水っぽいと食欲がわかないでしょ。冷たい料理は味を感じにくいため、熱い料理以上に下味と隠し味が重要です」

 「薄味」と「水っぽさ」の間には歴然とした違いがある。薄味であっさりしていても物足りなさを感じさせないのは、手間ひまを惜しまない下処理のなせる業というわけだ。

 つけだれは、マヨネーズに豆板醤とユズをミックスしたもの、からし入り酢味噌、カレーの3種。去年の夏に食べたお客を中心に早い時期から予約が入るなど、人気も上々だ。今年は第2弾の「冷やしカレー鍋」も投入し、“夏の鍋”のさらなる浸透を狙う。そのためにも新たなアイデアと工夫を加えながら、よりおいしく、インパクトのある料理に育てていきたいとのことだ。

 ◆店舗概要「熱い心のつるつるうどん 三佳屋」

 店舗所在地=大阪市中央区難波千日前9-17、電話06・6643・2220/開業=2008年7月/営業時間=午前11時~午後10時、木休/坪数・席数=約16坪・37席/1日来店客数=約150人/スタッフ=3~6人

 ●愛用資材・食材:「ハモ」 プリプリサクサクの旬の味

 夏の食材として関西で特に人気の「ハモ」は、三佳屋の風流冷やし鍋にも欠かせない存在。湯引きされた真っ白な身は、脂がのっているにもかかわらず淡泊で、奥深い味わいがある。三佳屋では、淡路島など瀬戸内海でとれる新鮮なハモをおもに使用。「ハモは大きいほど肉厚になりますが、味も食感も大振りになってしまいます。うちでは400~500gぐらいのものが一番おいしいと思っており、ちょうどよいころ合いの新鮮なハモを厳選して仕入れています」

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら

関連ワード: メニュートレンド