ニューヨーク通信 外食ビジネスの新発想(44)「ラビット・イン・ザ・ムーン」

2010.10.04 378号 10面
英国カントリーインをイメージさせるインテリア

英国カントリーインをイメージさせるインテリア

「ルーナー・スターダスト」(左)と、「エイス・ストリート・スマッシュ」

「ルーナー・スターダスト」(左)と、「エイス・ストリート・スマッシュ」

 ニューヨークに開店したばかりの英国パブ、「ラビット・イン・ザ・ムーン」。イギリスのコンフォート・フードであるバンガーズ&マッシュやフィッシュ&チップスなどを提供するガストロパブだ。外観、インテリアともに、格調高い英国のカントリーインをイメージさせている。1階、2階ともにフル・バーがあり、コンテンポラリーな英国料理を食しながら、ゆっくりお酒が飲める。(外海君子)

 ニューヨークでは、パブといえば、スポーツバーのようなものばかりだが、このほど、洗練された英国流ガストロパブがオープンした。イギリス料理はまずいという観念を覆して、見た目にも美しく繊細、舌にも麗しい料理は、オーナーのロッコ・アンカローラ氏自らが500人の中からえりすぐったシェフ、ブライアン・ビーラー氏が作り上げた。パンからアイスクリームまで自家製で、新鮮さと質を売り物にしている。

 金額は、お客1人45$あたりを設定。フィッシュ&チップスなどの典型的パブ料理だけでなく、リコタチーズのニョッキ、ローストしたホタテ貝、ウサギ肉のテリーヌなどのアペタイザーのほか、リブアイ・ステーキ、子羊のロースト、サーモンのローストなど、きちんと食事ができることが、ガストロパブといわれるゆえんだ。

 パブというからには、もちろん、バーも充実している。カクテルは、「キューカンバー・ムーン」(14$、ウオツカ、キアントロ、キュウリ、アガベ・ネクター、ライム・ジュース)、「ムーンライト・マルガリータ」(14$、テキーラ、ピンク・グレープフルーツ、オレンジ・リキュール、アガベ・ネクター、ライム・ジュース、ミント)など月にちなんだものが並び、ビールは、イギリスやアイルランド、スコットランドのものも。シャンペンやワインは、実に豊富なリストがあり、ボトルは28$から。一番高いものは、675$。グラスは、1杯9$から16$。

 ツタのからまる外観は、確かにイギリスのカントリーインといった様相で、中に入ると、特注した絵画がレンガの壁に掲げられ、革表紙の本の並ぶ本棚や暖炉、ソファー、ベルベットのカーテンなど、重厚で落ち着ける雰囲気に満ちている。2階には、個室もある。

 ちなみに、店名の「月の中のウサギ」は、オーナーのロッコ氏が、以前に付き合っていた日系ブラジル人から、「月の中にウサギが見えたら、恋をしている証拠」と言われ、どうもその言い伝えが忘れられずに、そのテーマにちなんでこうして店までオープンしてしまったそうだ。

 ●事業データ

 ラビット・イン・ザ・ムーン(Rabbit in the Moon=月の中のウサギ)/所在地=47 West 8th Street, New York, New York/開店日=2010年7月4日/営業時間=午後5時~翌午前1時/席数=80~90席/客単価=45$

 ●人気メニュー・ベスト5

 (1)「ラビット・イン・ザ・ムーン・サラダ」(10$、オーガニック野菜、ニンジン、ラディッシュ、アボカド、トマト、ハーブのドレッシング)

 (2)「バンガー&マッシュ」(17$、ポークソーセージ&マッシュポテト)

 (3)「フィッシュ&チップス」(18$、魚、イカ、エビ、タコのフライ、タルタルソース)

 (4)「クリスピー・ロングアイランド・ダックブレスト」(25$、カモの胸肉のソテー)

 (5)「ラビット・テリーヌ」(15$、ウサギ肉、パルマ・ハム、プロシュートのテリーヌ)

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