新メニュー開発術 志向トレンド&テクニカル基本100項

2011.06.06 387号 09面
「辛ネギ鶏パーコーの黄金チャーハン」

「辛ネギ鶏パーコーの黄金チャーハン」

「懐石ターリー」

「懐石ターリー」

 ◆99 トッピングで個性づけ

 現代的技術でメニューを多様化 ビジュアルと味に変化を付加 価格アップの手軽な手段

 料理の仕上げとして用いられるトッピングは、和食では天盛りと呼ばれ、以前は料理の彩りや薬味、風味付けなどを目的として用いられてきた。料理にまぜてしまえば、風味が目立たなくなったり、形状からも入っていることが分からなくなるなどの事情から、あえてトッピングすることで目立たせる工夫をしたわけだ。

 この従来的トッピングに加えて、現代的なトッピング技術として3つの基本要因がある。第1には、トッピングによるビジュアル訴求を狙いとしたものがある。見た目の華やかさや、彩り、楽しい形状といった要素を付加することで、ビジュアル的な付加価値を高めて売ろうとする技術だ。

 第2には、トッピングによって味の変化をつけたり、味のバランスを変えて、食べる楽しさを訴求しようとする考え方がある。

 温かなパスタに、ハーブやベビーリーフをたっぷりとトッピングしたり、ラーメンに、辛味などの味を加えた長ネギを、山盛りにして提供するといったスタイル。最近人気の温泉卵をトッピングする手法も味の変化を連想させて売る技術だ。

 第3には、トッピングをボリュームアップの手段として使う手法がある。同じものを量多く提供するのではなく、トッピングにボリューム感のあるものを使って全体のボリュームをアップさせようという考え方。カレーにカツをトッピングする考え方はその典型で、ボリュームだけではなく、価格アップの手軽な手段としても多用されるし、メニューの多様化にも役立つ。

 ◇「辛ネギ鶏パーコーの黄金チャーハン」 チャーハンはシンプルに

 カレー粉で風味付けした鶏もも肉に衣付けをし、カリッと揚げたボリューム満点の鶏パーコーをトッピング。その上に長ネギを笹切りにし、豆板醤と花椒を絡めてピリ辛味に仕立てたものをたっぷりとトッピング。ベースのチャーハンは、白飯に卵と卵黄をまぜ込んでからパラリと炒めた黄金チャーハンとして、シンプルな味わいに仕上げ、コクとパンチのある味わいの辛ネギ鶏パーコーとの味の相性を考慮。鶏の代わりに豚ロースを使うのもよい。

 ◆100 小皿の楽しさで売る

 心理的満足を優先する女性 提供は色、形の異なる食器で 商品構成で効率化可能

 男性と女性では、食に対する嗜好や意識に、違いがあることは周知の事実。なかでも、根本的に差が出るのが、食の満足感に対する優先順位の考え方。食の満足感は、大別すると、生理的満足と心理的満足に二分される。生理的満足とは文字通り、食べたものそのものの味や質、量といった形而下にあるものの判断であり、料理の実体の評価になる。対して、心理的満足とは、食に対する感性の分野であり、形而上にあるもので、物理的ではなく、精神的満足ではかる評価といえる。

 男性に比べて女性の場合は、この心理的満足へのバイアスが見られるのが特徴で、感性に訴求する部分に留意しないと、女性の本当の満足は得られないのだ。逆に言えば、生理的満足が十分でなくとも、それを上回る心理的満足があればトータルとしては満足してもらえるはずだ。

 小皿料理は、その女性特有の感性に訴える提供法で、たくさんの小皿が、こまごまと華やかに並ぶビジュアルが、一種のおままごと感覚にもつながるものとして喜ばれる。小さくてかわいい料理が並ぶさまは、必ず女性客の感動を呼ぶ。

 もちろん、食器の選択は重要で、同じ皿や鉢をたくさん並べたのでは魅力がない。色も形も大きさも異なる食器をちまちまと並べて提供するのがみそだ。

 この手法は言うまでもなく手間がかかるが、要は店の商品構成次第で、他商品との共通部分を上手に使えば意外に効率よく提供できるものだ。一の膳、二の膳として、数品ずつをまとめて提供したい。

 ◇「懐石ターリー」 和食のイメージを付加

 インド料理の定食、ターリーを小皿スタイルでアレンジ。レンズ豆のスープ、キャベツのサブジ、ホウレンソウのカレー、チキンのブラックカレー、ラムカレー、ポテトのキーマカレー、タンドリー風チキン、サフランライス、米麺、レッドライス、ポテトのサモサ、バナナのマンゴーソースかけなど、12品を小皿で提供。インド料理でありながら、小皿で提供することで和風感を付加し、新しいイメージで売りたい、女性向き新提案メニュー。

 (FSプランニング 押野見喜八郎)

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